“カイシャの未来研究会2025”(主催:ライフシフト・ジャパン株式会社)は、会社で働いている人を対象に、現在の勤務先が人生100年時代にふさわしい会社になっているのか、その実態を探索する調査を行いました。

調査にあたっては、“カイシャの未来研究会2025”が推進している社会変革ムーブメント=KX (カイシャ・トランスフォーメーション) *を実現する5つのコンセプト、25のゴールをもとに設問を作成。調査結果をもとに、KXを指標化(KX Index**)し、“カイシャの未来度”を表す指数(KX Score***)を算出するモデルを開発しました。

* KX (カイシャ・トランスフォーメーション) =カイシャ(昭和モデルから脱却できない日本企業)を壊し人生100年時代にふさわしい“会社”を創る社会変革のムーブメント

**KX Index=5つのコンセプトそれぞれがIndexを構成。 各Indexはそれぞれ5つのIndicatorによって構成されている

*** KX Score= KX Indexの各Indexをスコア化し、その合計得点をKX Scoreとした。  

調査の分析結果、KX Index、KX Scoreの概要をご報告するオープンフォーラムを、2022年9月に開催しました。

 

【タイトル】分析報告 : “カイシャの未来度”実態調査2022

~KX Indexから日本の現在地点を見つめよう。~

 

【概要】◎KX(カイシャ・トランスフォーメーション)ビジョン、アクション

    ◎KX Indexから見た日本の現在地点

    ◎“カイシャの未来度”を社会的に高める施策

【日時】9/27(火)13:30~15:00(開場 13:20)

【場所】オンライン(ウェビナー形式)

【プレゼンター】

大野誠一(ライフシフト・ジャパン:代表取締役CEO)

豊田義博(ライフシフト・ジャパン:取締役CRO)

【コメンテーター】

中根弓佳氏(サイボウズ:執行役員 人事本部長 兼 法務統制本部長)

野澤友宏氏(ニューホライズンコレクティブ:共同代表)

野田稔氏(明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科:教授)

平田麻莉氏(フリーランス協会:代表理事)

藤井薫氏(リクルート:HR統括編集長)

吉田和友氏(NECネッツエスアイ:ビジネスデザイン戦略本部長)

*島田由香氏(YeeY:共同創業者/代表取締役)

*曽山哲人氏(サイバーエージェント:常務執行役員 CHO)

*事前収録したコメントを動画でご紹介しています

 

【主催】

カイシャの未来研究会2025 / ライフシフト・ジャパン

 

KXというムーブメントは、いつ、どのようにして立ち上がったのか?

大野:みなさんこんにちは。大野です。お集まりいただきありがとうございます。

まずは、今日ご登壇いただくメンバーをご紹介したいと思います。

まず最初に、明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科教授の野田稔さんです。

野田:ちょっと緊張しています(笑)

大野:続きまして、サイボウズ執行役員で人事本部長兼ホーム統括本部長の中根弓佳さんです。よろしくお願いします。

中根:私は緊張というより楽しみにしています。よろしくお願いいたします。

大野:それでは続きまして、フリーランス協会代表理事の平田真理さんです。平田さんは今日お誕生日でございます。おめでとうございます。

平田:ありがとうございます。よろしくお願いします。

大野:続きまして、NECネッツエスアイ、ビジネスデザイン本部長の吉田和友さんです。よろしくお願いします。

吉田:よろしくお願いします。

大野:吉田さんこのバーチャル背景いかがですか。

吉田:なんかファンタジーですよね。(笑)先ほど大野さんが、資料はもっと期待ができるようなことをおっしゃっていたので今日すごく楽しみにしています。なにか物語があるんだろうなと思って。

野田:なんかRPGみたいな感じですよね。

大野:続きまして、リクルートHR統括編集長の藤井薫さんです。よろしくお願いします。

藤井:よろしくお願いします。

大野:そして最後に、ライフシフト・ジャパンの取締役、豊田義博です。よろしくお願いします。

豊田:よろしくお願いします。

大野:のちほどニューホライズンコレクティブの野澤さんに来ていただけるということなので、またご紹介をさせていただきたいと思います。ではスタートしたいと思います。よろしくお願いします。

今日は、1月からやってきましたKXのオープンフォーラムということで、ライフシフト・ジャパンで『カイシャの未来度実態調査2022』という、今の日本の会社、それから働く人たちってどんな状態なのかなということを探るための調査をしました。このお披露目を今日この場でさせていただきます。

まずは、このKXというムーブメントに至るまでを簡単に振り返っておきたいと思います。人生100年時代と言われてだいぶ久しく時間が経ってきていますけれども、まだまだこのことの本質的な意味や課題について、私たちひとりひとりや会社が対応し始めているのだろうかという素朴な疑問がありまして、人生100年時代にふさわしい会社と人の個人の関係というのはどんな関係なのかということをディスカッションしたいということで2018年の暮れから、「カイシャの未来研究会2025」という活動をスタート致しました。

この2018年に、日本版ライフシフトの法則なるもののお披露目を兼ねて、この研究会のキックオフミーティングを行いました。

ここをスタートに、地道に継続的にこの青くさいテーマで、個人と会社の関係はどうあるといいのかなということについてディスカッションをずっと続けて来ました。

2019年には、『会社を出会いの社にしよう』というキーフレーズでフォーラムを開催したり、そしてこの会社を出会いのべースにするためにどうしたらいいのかということを膝詰めのワールドカフェ形式でディスカッションさせていただく活動を作ったりですね、こんな活動をしました。

その後、コロナのパンデミックが始まって、世の中いろんなことが急速に変わり始めたりしたわけですね。そのようなことを受けて、この変わる力、変身資産が個人にも大事になってくるし、それは会社にも問いかけられていくというそんな時代だということで、昨年の夏には「変身資産が会社を変える」というキーワードでのオープンフォーラムも開催をしてきました。

そしてこういう流れを受けて、いよいよ本当に会社を変えていくための社会実装について議論をしていこうということで今年の1月から4月にかけて10回連続のセミナーというか。研究会のディスカッション、そのセッションをそのままオープンにして、多くの方にそれも参加していただくという取り組みを1月からスタートしました。

この時以来、述べ500人ぐらいの方々にディスカッションに参加をしていただいたり、録画の視聴をいただいたり、ライブのチャットで意見を提案していただいたり、アンケートを通じてご意見を頂いたりということでオーディエンスの皆さんの意見をどんどん取り込む形でこのKXの議論を進めてきたと思います。

そういう中でこのカイシャ・トランスフォーメーション、このカタカナの会社ですね。昭和モデルから脱却できない日本の古い会社を壊し、人生100年時代にふさわしい会社を作っていく社会変革のムーブメントとして、カイシャ・トランスフォーメーション=KXというキーワードを立ててきたわけです。

 

KXの中核である「5つのコンセプト」「25のゴール」

これを実現するために、今日ご登壇いただくコアメンバーの皆さんだったり、参加したオーディエンスの皆さんの意見をどんどん吸収しながら、5つのコンセプトというものを作りました。

まず一つ目は「“わがまま”セントリック」。ひとりひとりの“わがまま”ですね。私のままで生きていけるようなそんな会社の場を作っていこうよということで、このわがままセントリックに対応する五つのゴールを設定しました。

そして「“旅の仲間”バラエティ」。いろいろなひとに溢れた場にしていこう。ひとりひとりの見える化をしていこう、というような目標を掲げています。

三つ目に「“つながり”リデザイン」。やっぱり会社というものは会社なるものが存在するんじゃなくてそこに関係するひとりひとりの人の関係性、その繋がりがそもそも会社そのものなんだよねと言うことですね。この繋がりを新しくデザインして行きましょうということでこのようなゴール設定を考えました。

そして会社と個人はもっと想いで繋がっていこうよということで「“想い”ドリブン」。想いというものを大事にした関係性を作っていきたいなということで、ここでも5つのゴール設定をしました。

そして最後に「“変態”インフィニティ」。会社っていうのはどんどんどんどん変わり続けなきゃいけないだろうということで、この会社をどう変えていくかということの5つのゴール。こういうことを設定して来たわけですね。

これを4月に発表させていただきました。この5つのコンセプトと25のゴール、KXDsというふうにも呼んできておりましたけれども、この25のゴールを設定をしてきたわけですが、これが今日本の会社ではどうなってるのかなっていうことを見極めていこうというのが、今日の本題であります「カイシャの未来度実態調査」ということになるわけですね。

このゴール設定をすることによって、こういうゴールを実現して行くことによって、個人・会社・社会全体が変わっていく、より生き生きとしたライフシフト社会になって行くといいなぁ、そんなことを感じて議論をしてきたわけです。ということで、今までのディスカッションを通じてKXを、そして25のゴールというものを設定してきましたが、今日ご登壇いただいた皆さんもちょっと思い出していただきながら、この25のゴール、これをどうこれから実現して行くのか。今日はそのスタートラインを確認する場という感じです。

野田さん、この1月からのいろんなディスカッションの中で、それから今KX部っていう部活も始まっているわけですが、もう一度振り返っていただいていかがしょうか。

野田:はい。一番最初スタートしたときは、我々の思いっていうのは、もっとなんか単純というか、もっと緩いものだったような気がするんですよ。要するに「みんなが生き生きしていれば会社っていいよね」ぐらいの感じで始まったんだと思うんですね。

ところが、ずっと回を重ねて一つ一つを細かくを見ていくうちに、妙な言い方ですけど、少なくとも私は段々段々本気度が高まってきたっていう感じなんですよ。これは本当にやらないとまずいぞ!っていうような気持ちがどんどんどんどん強くなってきたんですね。

それと同時に、やはりあの分科会なんかで皆さんと言ってると、こう言っちゃなんですけど、結構愚痴が出てくるわけですよ。そんなこと言ったってできないよみたいな話がいっぱい出てきてですね。これ実態どうなっているのかなと。もしかすると我々がこの理想だなんて思っているようなことが本当は全然できてなくて、それで苦しんでる人がいるんじゃないかっていう、なんかこう理想を見るからこそ逆に影を想像し始めたところがあって。

今回ですがそれを実態としてボンとこう皆さんにお見せして、皆さんがどう思われるか。僕は正直言うと、分科会でずっと感じていたむしろ危惧の方がもう明確に示されてしまったということで、より一層兜の緒を引き締めなきゃって感じになりましたね。

大野:なるほど。はい、ありがとうございます。そうですね。

 

「会社というモンスター」と、どう付き合っていくのか

大野:さて、中根さん。サイボウズは、働き方改革とかリモートワークの先端企業と言われていますし、この私たちの研究会のカタカナの会社っていうのは、青野さんが書かれた「会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない」という本の内容も参考にさせていただいてきたわけですが。この5つのコンセプトを、25のゴールを見て、今サイボウズの立場から見ると、どんな風に見えていらっしゃいます?

中根:サイボウズもちょっと規模が大きくなってきて。規模って本当は関係ないはずなのにもかかわらず、なんか規模が大きくなってくると、なんとなく本人の、ひとりひとりのあり方と会社さんっていうものがモンスター化しがちなんじゃないかっていうのは、ものすごく感じているんですよ。

でもモンスター化しないために、一人一人が本当に主体性を持って主人公になれる会社にするためには、会社を出会いの社にしていくためには、やっぱりすっごい意識をしてチームっていうのと、人の関係性っていうのをクリエイトしていかなきゃいけないなあっていうのをまさに今感じながら、会社が大きくなっています。

大野:もう今1,000人超えたぐらいですか?

中根:1,200人超えました。

大野:もうそんなに行っちゃってるんですね。ついこの前800人ぐらいだったらと思っていたら。

中根:グローバルですけどね。

大野:やっぱり1,000人超えてくるとモンスター化するリスクも逆に感じてくるってことですね。ありがとうございます。またちょっと後ほどいろいろディスカッションしたいと思います。

さて、平田さん。今日はお誕生日おめでとうございます。フリーランス協会には、会社とは離れた立場で個人で生きていこうという道を選択した人たちが会員として集っていらっしゃるわけですが。皆さんの立場から見ても会社とのビジネスの関係が常にあるだろうし、会社がどう変わっていくかというのはフリーランスの立場から見てもいろいろ影響が大きいと思うんですけど、そういう中でこのディスカッションにずっと参加していただいていて、どんな風に感じてらっしゃいますか?

平田:そうですね。おっしゃるとおり、私たちは決して一人で仕事してるわけではなくて、むしろいろんな複数の会社に入り込んで仕事していますので、本当に会社によって色々違いがクリアに見えてくるというか、そういうのもあるんですけれども。

さっき野田先生がおっしゃっていた通り、今回このコンセプト発表してからいろいろ議論がある中で、それは理想だけど難しいよっていう声いっぱいあったと思うんですよね。でも、実際私もスタートアップから大企業までいろいろ手伝いしたりとか、自分自身も三つの会社を経営していますけど、「全然できます」って声を大にして言いたいなと思っていて。

やっぱり会社の規模が大きくなればモンスター化しやすいっていうのも当然あると思うんですけれども、規模の成長とその規模と、KXの両立ができている会社っていうのもあると思いますし、会社を構成している一人一人の意識次第で、いかようにでも変われるんじゃないかなと思うので、諦めずどうやったら変わるかっていうところをしっかり考えていきたいなと思います。

大野:そうですね。中根さんと平田さんの発言の中で両方に共通して、会社が変わるんじゃなくて、一人一人が変わるんだよねっていう。そこが一番のポイントなんだろうな。このKXの議論をずっとしてきた中で、日本人の中に、広くあまねく「お上がなんとかしてくれる」みたいな感覚があるんだけれどそうじゃないんだよね。私たちひとりひとりが変わることで、結果的に会社も変わっていくんだよってことだと思うんで、そういう意味では社員かフリーランスかみたいな会社の内外っていうのもどんどんどんどん混ざっていくっていうかそんな感じになって行くような気もしますよね。

平田:そうですね。

野田:会社は共同幻想ですからね。我々が見る幻想が変われば会社は変わるんですよ。

大野:はい、ありがとうございます。またのちほどよろしくお願いします。

 

会社が変わらなければいけない、という待ったなしの状態

大野:そして、NECネッツエスアイの吉田さん。吉田さんはあのこのコアメンバーに入っていただきつつ、まさにビジネスの最前線で会社を変える戦いをずっとずっと続けてらっしゃって、先日もKXの部会で、ネッツエスアイのいろいろなイベント、ある種の戦いの歴史をお披露目していただいて。オールフリーディスカッションとかほかの人たちも非常に参考になる取り組みなども教えていただいたわけですが。今日この後、データをいろいろご覧いただくんですけれども。この辺見ながら感じていらっしゃることはいかがでしょうか?

吉田:そうですね。先ほど中根さんの話を聞きながら思ったのは、一番最初、私の方から言うと、もう出来上がった、いわゆる確固たる組織という中に、対抗するためにチームを作って、それにぶつけていって変えていこうというひとつのゲリラ活動みたいなものをやってきて。いよいよ本当に会社が変わらなければいけないっていう状態で、実は昨日もそういう議論に役員ともなっているんですけど。

変わらなければいけないっていう方向が、いよいよ現実の目の前に来たときに、今度は今私がいろいろやっているようなプロジェクトのチームは、これはチャレンジするチームではなくて、これから成果を上げていくもっと組織に近いものに変わらなきゃいけないんだという風に言われました。で、面白いのが、結局そうなってくると最近そこのメンバーの方がどちらかというと保守的な発言がすごく多くなってたりするんですよ。なので、ここらへんは順番は違うんだけど、さっき中根さんのおっしゃってることとかなり遠いようでアプローチは真反対なんですけど、結構似たような状態がこう動きながら、変わっていくっていう状態のどっかのタイミングなんだろうなって言う気がちょっとしてます。

今日の調査結果もすごく楽しみなのは、さっき言われていたように大きいとかちっちゃいだとかベンチャーだとか大企業だとかということじゃないんじゃないかなっていう気はするんで。本当にみんなで方向性、一つの方向に向いている小規模の集団だったらいいですけど会社っていう組織のなかでものを考えていかなきゃいけない時に、どういうふうに変えるきっかけを作るか、個人が強い集団がやっぱり強い会社になるんだと思うので、どっちかっていうとやっぱり個人なんだろうなって言う風に最近思うことがすごく多いです。

大野:なるほどね。はい、ありがとうございます。

最後に、リクルートのHR統括編集長の藤井さん、漢字博士ですけれども。コロナパンデミックも収まってきた雰囲気になってきましたが、こういう中で転職マーケット全般とか、いろいろまたどんどん変化も起きてると思いますが、最近どうです?

藤井:そうですね。本当にもうこれで元に戻るんだっていう期待もあれば、やっぱり本当は単純に戻るんじゃなくて、この大きなパンデミックがあったとき、何を学んで、よりしなやかに戻るのかっていうのを忘れてしまって、単純に戻るだけでは、やっぱり大きな苦しい思いをした方の意味がなかったって、そういうことがあって。もう一度深く進化するということを語られる方とても多いと思うんですね。

この研究会に最初から参加させていただいた中で、まさにこのうしろの背景も含めて、自然とか命とかつながりみたいなものというのを、今まで会社は捨ててきたような気もしていて。見えやすいものだけを見てきた。見えにくい物をちゃんと見ようとすると見えるんですけど、見ようとしないと全く見えないっていうものだったと思うんですよね。見えやすいものだけ見るのではなくて、見えにくいものまで見るということで、今回の調査にすごい期待をしております。

似たような所で、昔、玄侑宗久さんって臨済宗の芥川賞作家のお坊さんの話を伺いましたけど、無意識の混沌に糸を垂れて、意識で引っ張り上げるようにすることが本当のセルフという大きな力になるとそんな話もあって。もしくは会社の中で見過ごしてきた無意識の何か、働いている人たちの想いみたいなものも今回の調査でもう一回意識して、ちゃんと糸で釣り上げたら、見えてなかった会社の可能性みたいなことが見えるんじゃないかなと思って、今日すごい楽しみにしています。

大野:はい、ありがとうございます。

 

カイシャの未来度を示すKXインデックス

大野:このKXのディスカッションの場では普通の経営論とかマネジメント論の中では多分あまり出てこないような言葉使いというか、ものすごく青臭い話を真面目にやるということを意識的に続けてきたわけですけれども。その結果としての25のゴールというのが現在地点としてどうなっているのかを確認をしてみたいと思います。今回の「カイシャの未来度実態調査2022」の結果報告を豊田さんの方から駆け足になると思いますがご説明してもらいたいたいと思います。

豊田:はい。早速調査の内容に入りたいと思うんですけども。簡単に前振りを。

実はこの研究会の活動、大野さんが冒頭お話をしたように、かなり長くやっていて、ここにいらっしゃる皆さんもそうですしオーディエンスの皆さんの中でも多分セッションに来ていただいていろんなご意見をいただいたり、あるいはあるときは「ヒト・ドリブン」というキーワードで素晴らしい企業をベンチマークして、11社の素敵な企業の経営者の方、メンバーの方から話を聞いて、やっぱりちゃんとこの25のゴールを実現している会社があるんだということを実感を持っているんですけども。

今まで残念ながら定量的にそれを検証するっていうことはやって来なかった。でもいろんなことが整ってきたし、フレームが手に入ったと。いよいよ検証をしてみようと。ここでどんな結果が出るかちょっと分からないけど、まず検証してみようじゃないか。そんな形で始めたのが、今回の調査になるわけです。

告知のタイトルにKXインデックスという名称を設定してます。今時代の中でポイントになる指標はどれなのか、それはどれぐらいの進捗状況なのか、と言う形を示すようにしたインデックスは色々あると思いますけれども。このKXインデックス。今回の5つのコンセプト25のゴールそのものが、インデックス化できるよね。これは、会社そのものがどれぐらいちゃんと未来に向けて人生100年時代にふさわしい会社になっているかということがわかる、そういうフレームになるじゃないかという形で、実際今日本の中でどれぐらいちゃんと実態として実現しているのかあるいはしていないのか、そういうことを測りに行こう。それが今回の調査だったわけです。

例えばわがままセントリック。このコンセプトに関して、5つのゴールがありますけれども、このゴールがどれぐらい実現できているかどうかというのを測るためのクエスチョンてどんなものがあるかなということを、3月4月のセッションの中で、オーディエンスの方々と練って作ったものがあるんです。

ちょうどわがままセントリックのものを見て頂いています。同様に旅の仲間バラエティに関しても、この5つのゴールに対してそれぞれこういうことを聞いていくとその実現度がわかるんじゃないか。他のコンセプトにも同様なものをそれぞれ用意しています。時折、緑の文字になっている設問があります。これは会社の一員というレッテルを剥がそうということに対して、レッテル貼りまくっちゃっているよね、みたいな質問。調査でいうリバース質問。逆の意味、これが高いと逆に会社の未来度としては低いぞと、そんなような質問も織り交ぜてています。想いドリブンに関しても同様に、そして変態インフィニティについてもこういう形で、5つのコンセプト25のゴールそれぞれに2つですから50のチェックポイントクエスチョン、あるいは検証するポイント、そうしたものを設定したわけです。これが、まさに調査のフレームそのものになります。

今のこの50のフレームづくり。これは、ある意味でのオープンイノベーションみたいなものだったんじゃないか。セッションの中でこうしたアンケートにご協力いただく中で、右側に2人ほどのかなり細かなコメントがありますけど。こんなものを実はたくさん寄せていただきました。こういうものを元に、相互作用の中でものを作ってきたというプロセスであったと思います。これをまさに検証していこうということが今回の調査です。

 

調査から浮かび上がる危機的な状況

豊田:簡単に調査のスペックを申し上げます。日本の会社が、2022年時点において、どの程度人生100年時代にふさわしい会社になっているのか、会社の未来度の実態を探索する。先ほど見ていただいた50の項目、並びにひとりひとりが今どういう状況なのか、あるいは働いている会社が一体どういう組織のタイプなのか、そのような質問を従業員100名以上の会社や団体で働いている方、正社員あるいは契約社員、役員の方も含めてサンプルとして1582名の方にご協力をいただきました。

さっそく中身をみていこうと思います。先ほどの50の設問に関して、よく調査で四件法という、今あなたが働いている会社であなた自身の行動とか状況は、この文書に対してそのとおりという感じなのか、まあそうかな、そうとは言えないな、全く違う、その態度表明をそれぞれにしてもらうという形になります。

その結果がまずこちらです。わがままセントリック10問。そのとおりと答えている人はすごく少ないことがわかります。1カ所高いところがあるんですけども、帯がついてます。さっき言ったリバースの質問です。これが高いということはわがままセントリックになっていないと。なってない項目だけが高くて、これ見ると40%いってる部分もほとんどないかなり低い状況だということが見えてきました。

旅の仲間バラエティ。会社の中には、いろんな性格とか得意技を持っていろんな人がいる。これは思ったより皆さんそうだと回答していますけれども、それ以外の項目はそうでもない。やっぱりここでもやや手ごたえのない、なかなか実態はそこまで行ってないなということが見えてきます。

つながりリデザインもちょっと高かったりする部分がありますけど、これまた全部リバース質問が高いっていう感じですね。高ければ高いほど良くない項目の方が高くて、高くあってほしい項目が実は高くないことが見えてきます。

想いドリブン。会社で働いて仕事をしている中で自分自身でこういう得意技があるとかそういう部分ダメなんだということに気づく。これは6割近く。確かに仕事としてちゃんと自分らしさを確認はできると言ってますけれども、それ以外の項目は惨憺たる結果という感じで、なんかかなりみんなの想いって満たされてないなということが見えてきます。

最後に変態インフィニティですね。これも実はちょっと高め。組織に合わないとか成果・実感が得られない人はやめちゃうよ、っていう。辞める人は辞めているんだって感じもありますけど。他に高い部分はやっぱこれもリバース質問ですね。ルールの規則が細かくて、日常的にチェックされてるっていう会社はやっぱり5割以上あるんだなとかそんなことが見えてきました。

今5つのコンセプトの概要を見ていただいたわけですけど、これをスコア化してみました。

例えばこのわがままセントリック。この五つのゴールに関して10の設問。右のように答えたとします。その通りと答えた質問には+2点。全く違うという場合-2点。リバース質問は逆になりますね、その通りとなったら-2点になる。全く違うとなると+2点になる。そういう形で得点を出してその得点の分布をまず見てみました。

それがこちらになります。先ほどのロジックですから、0が中央になるわけです。で、高ければ高いほどわがままセントリックが実現していたり、旅の仲間バラエティが実現している。マイナスであればあるほどそこがあまり実現してないという形になるわけですが。先ほどの概要からもおわかり頂ける通り、中央値はやっぱり0より低いところにあるということが明らかです。特に、この想いドリブンは相当低いところにピークがあるということがよく分かると思います。

 

KXスコアと仕事・会社満足度との強い関係

豊田:この項目の高い・低いというのにはちゃんと意味があるのか、高くてもいろんな意味で、それと本人のまさに状態とさしたる関係がなければ、このスコアには意味がないわけです。まず、働くということに限らず、一人ひとりが今の人生生活全般の中で生き生きとしているかどうか、という質問をしています。今回答えていただいている1582人全員、今あなたは状態としてどんな状態で、生き生きしているのか、あるいは逆に生き生きとしてないのか、答えていただいた。この結果と先ほどの各インデックスのスコア、これにどんな関係があるのかということのクロス分析をしてみました。

野田:豊田さんは生き生きしている?

豊田:私はまあまあって多分答えると思いますね。まあまあぐらいじゃないでしょうかね。

皆さんの声もあとで聞いてみたいです。で、これ見ていただくと、例えばわがままセントリック。マイナスだとやっぱり生き生きしている人たちは少ないわけですけれども。このスコアがどんどん高くなればなるほど、やっぱり生き生きしている人たちはかなり増えてくる。それ以外の旅の仲間バラエティに関してもつながりリデザインについてもすべてほぼ同じような傾向が見えてくる。どうやら生き生きとしているぞという感覚とこの各インデックスのスコアにはかなり繋がりがありそうだなということが見えてきた。

どうやら同じような形で傾向がありそうなので、五つの指標を足しこんでしまいましょうと。先ほどのそれぞれのものが-20から+20まで分布をする形になります。これをガッチャンコすると全部で-100から100までに分布をするというスコアが手に入る。これを私たちが大切にしている、まさにカイシャ・トランスフォーメーション=KXスコアと名づけました。

この-100から100という部分に関して、ここに見ていただいている六つの段階に区切ったうえでこの六つのカテゴリーで、どんな状況なのか。先ほどの生き生きという質問をぶつけてみました。

そうするとそれがこんな結果になってきます。先ほど見ていただいたものを併せ持ったものですからもちろんの結果になるわけですけれども、このKXスコアが低い人たちはやっぱりこのいきいき度合がかなり低いですが、プラスの度合いに転じてくると、とても生き生きしているというスコアが増えて、この+51になってくるとかなりの人たちが自分自身の今の生き方そのもの、生きている状態そのものがとても好ましいというふうに言っている。

これは一般的な生活の態度という形とか実感ですけれども。働いているということとの関係はどうだろうかということで、今の仕事に関する満足感、あるいは自分自身が成長できているか、仮に今と違う仕事とかまったく違う会社にいたとしても変化に適応できるのか。そして会社そのものに満足しているのか。さらに、この自分自身の会社にいろんな人に入社を薦めたいというふうに思うか。この五つの質問に関しても同じようにクロス分析をしてみました。

まず「仕事満足」ですが、見ていただくとこれもかなり顕著な形で見えてきます。これは7つの段階で質問していて、緑のゾーンの部分がプラスのかたなんですけど。この辺だと非常にプラスが少ない、やっとこのゾーンになって反転するわけですけども。プラスに転じてくるとやっぱりこのゾーンがどんどん大きくなってくるということがかなりよくわかるかと思います。

「成長実感」に関してもまったく同じような傾向が見て取れる。スコアによって顕著に上がっていくということが見てとれます。「変化適応」、ここに書いてある通り別の会社や別の仕事についてもなんとかやっていける、まさに変化の時代。変化の激しい時代です。このスコアが高いというのは、先ほど大野さんが昨年のセミナーの話をしてくれましたけど、まさに変身資産が高いということを表しているということにもなるんじゃないかと思います。

会社に関する満足度、これは仕事より遥かに顕著な傾向です。もっとはっきり傾向が出ます。マイナスの人は会社に関して満足度は明らかに低いですよね。それがこの段階でプラスになると、ぐっとスコアがここで大きくはねるという傾向が顕著だと思います。

さらに自分の会社にいろんな人たちを薦めたいか。最近は色んな会社で、リファラルで採用しようと動きがありますけれども。マイナスの人は当然かもしれませんが誰が薦めるかという感じだと思うんですけども、やっぱりプラスになってくると、まあいいんじゃないのって。26以上の人たちになるとかなり自信を持ってすすめちゃおう、という感じになってくる。それぐらいこのKXスコアと個人が、仕事とか会社と向き合う態度にはかなり密接な関係があるということが見えてきました。

さらに、その50の設問を答えていただいた後に、その回答者に今50の設問を答えてもらった上で頭の中でどんなことを考えていましたか?自分自身が思っていたこと、仕事に関して会社に関してどんなことを思ったか、フリーコメントを書いていただく質問を用意しました。

これをそれぞれの先ほど6分割をしたところで見ると、例えばこれが-100から-50、ちょっとしんどい方ですけど、「流されるままに働いていく」とか「早く転職したい」とか。意図的にその設問を選んだのではなく、こんなようなコメントだらけです。このゾーンの人たちは、辞めたい感覚満載というコメントが非常に多く、「会社そのものが理不尽」だと、「選択を誤った」とか、大丈夫かなという風に思うようなコメントがたくさんありました。

-49から-25、「古い体質」とか「硬直している」とか「滅私奉公」みたいな言葉とか、まさに古いカイシヤ=カタカナ会社そのものがかなり残ってるぞ、ということがこのコメントからも見て取れるかと思います。

-24から0、この辺になると、あまりよくはないと思うんですけれども、一番下に「100%希望通りの職場はない。妥協も必要だ」と。こんなもんだろうなあなんていう意識があったりする。でも、まだまだ後ろ向きな感じがあります。

これがプラスに転じると、この+1以上のゾーンになってくるとまあまあいいんじゃないの。まあこんなもんでもいいんじゃないのかなという感じのポジティブだしマッチした、自分がそれなりにいい感じ、ヒットしてるかなというコメントがあります。いいことも悪いこともあるよとか制約が多いというまだちょっと課題もありますけれども相対的にこうポジティブなコメントが出てくる。

+26から+50になってくると、結構自分の想いが実現できているいい環境だとか好きに働かせてもらえる、やりがいがあると思う。一気にコメントのポジティブ性が増します。

そして+51以上になってくると「理想的」であったり「協力体制があり、将来ビジョンがある」と自分の勤めている会社には誇りがあります」というような言葉も登場する。こんな方がいるから自分の会社にいろんな方々を紹介してうちに入りなよといいたくなる。こういう状態が現れているっていうことだと思います。

先ほどグラフで見ていただいたことがまさにこうなぞるように、あるいはより確かに、コメントから見てもこのスコアと人ひとりひとりが会社の中でどういう状況なのか、それぞれの会社、野田さん先ほど共同幻想といいましたけれど、まさに自分自身の眼に映っている会社は、こんなふうなスコアで見えてきているということで非常に明確な関係があるなということが見えてきました。

今回のオープンフォーラムのタイトルは、インデックスから見る日本の現在地点。平均値を見ると、わがままセントリック-3.05、旅の仲間-2.69、つながりリデザインに関しても-2.02、想いドリブンは特に低い-5.06、変態インフィニティも-3.08。合算するとこのKXスコア、日本の平均は-15.9とかなり低いところに位置している。

ヒストグラムで見ていただくと、一番ピークが高いのはなんと-39から-35のゾーン。実はこの辺がピークです。平均は-15の辺りにあるわけですけど、なんとここがピークにあるというような状態。先ほどコメントを見ていただいた、まずまずポジティブだなというゾーンに入っている人たちは30.9%。かなりいい良い状況だなという人たちにいくと11%。これぐらい限られたものになってしまうということが見えてきました。

ここまでが調査の概要です。大野さんにお戻しします。

 

「想いドリブン」が低い、という根深さ

大野:はい、ありがとうございます。KXセッションでは、未来の会社像ということで、あるべき姿、目指すべき姿、ということを議論してきたわけですが、初めて今現状どうなんだろうということで調査をしてみると、こんな結果だったということで、日本大丈夫か?っていう感じもするわけです。

そういう中で、今日遅れて参加して頂きましたニューホライズンコレクティブの野澤さんです。電通から230人の人たちが会社の外に飛び出して、業務委託契約を結んでいくっていう本当に大きな社会実験のようなチャレンジを今されているニューホライズンの野澤さんにも参加いただきました。

野澤さん、今のデータを見て野澤さんも一昨年までは電通の社員だったわけですけれども。今そこから飛び出した状態になっていらっしゃるわけですが、今の数字見ていかがですか?

野澤:いや、あの本当に面白いって言い方月並みですけど、ものの見事に相関しているところがすごいですよね。ニューホライズンコレクティブでも半期にいっぺん、メンバーにアンケートを取ってるんですね。で、今年2022年に取ったときに去年一年間どうでしたかって言ったら、充実度っていうと9割超えたんですよ。

時は折しもコロナ禍に。平均年齢52歳のメンバーが充実して、9割が充実してるってビックリしたんですけど。またこの半期取ったんですね。1月~6月で、どうでしたかって。そうしたらさすがにちょっと落ちるかなと思ったら、なんとちょっと伸びたんですよ。時は円安ですよ。その時期に伸びているということは、ニューホライズンは会社組織とはまた違うんですけれども、個人、でもそういっても半分組織みたいな、なんか緩やかにつながっているので。結構ですね、このまあなんでだろうねっていうところで結構色々我々も調査したりヒヤリングしたりしてるんですけど。今回見させていただいた結果、このKXインデックスも非常に役に立つとか参考になるなと。とにかく何かこう自分で何かで起こせてそれが自分ひとりの力が結構影響力を持って世の中に価値があるんだとこの実感がすごい多いのかなと思いましたね。

逆に先ほど豊田さんも言っていましたけど、想いドリブンのところが非常に低いのがすごくびっくりしてですね。自分の想いを分かち合えないところから、何も始まらないだろうなと思っちゃうんですね。だから、そこあたりが結構根が深いなあなんて聞いてました。

大野:今のヒストグラムを画面で見ながら会話を続けていきたいと思うんですけれども。この結果を見てちょっとびっくりする驚愕のデータだったわけですよ。野田さん、これ見てどう思われました?

野田:冒頭でもちょっとお話しました通り、そうだといやだなあと思っていたことがもうちょっと酷い形でみえちゃったっていう感じですよね。やっぱり-49から-25って、フリーコメントを見ると結構っていうか、かなりネガティブな想いを持って会社を見ている人たちが多い状況じゃないですか。そこが一番多いということは、本当に病んでいる。これは我々の調査だけではなくて、例えばOECDの調査とかですね、国連の調査なんかでも、日本の企業および企業人の満足度が低いとか、いろんなところで言われているんですね。それに対しては、いろんな学者がいろんなこと言ってるんですよ。日本人ていうのは、もともと会社に対する要求度が高いから、ちょっとでも満たされないとみんな不満を言うんだよ、とかね。そんなこと言う人いっぱいいたんです。でも、もうこれ見せたらそうは言わせないぞっていう感じでしたね。逆に言うと、これをなんとかしないと、どんどん腐っていっちゃいますよね。だってその日中の大半を過ごしている仕事の中において、鬱々として嫌な気分でいるってことは、人生どぶに捨てるようなもんなんだから。そんなことは良いはずはないわけでして。改めて事の重大さに気が付かされたというのはこのヒストグラムなんですね。

大野:そうですね。さっきの野沢さんの話だと、ニューホライズンの230人は、今、会社組織の社員じゃないけれども、その一つのコミュニティとグループチームとしては、おそらくこうプラスの一番下の方70とか75のような状態になっているのかも知れないしれませんが。

野田:それが平均年齢52歳でね。実は年齢でとると年齢が高くなればなるほど、満足度が下がるんですよ、普通は。ですから、52歳でそれがあるっていうのは、本当にいい会社なのか、それともなんか変なもん食べさせてるしかないわけで。あの素晴らしいことであると同時に、できるんだっていう希望にもなりますね。

大野:今プラスの部分だけで30.9%しかいない。それから+26以上だと11%しかいないっていうね。こういう状態で、これは会社そのものを評価したんじゃなくて、そこで働いているひとりひとりが実感しているデータなわけだから、その色々なエンゲージメントスコアと、なんか表裏の関係になってるような気がします。例えば中根さん。サイボウズの歴史を以前KXの部会でも聞きましたけど、恐らく以前のサイボウズって-80ぐらいだったんですよねきっと。

中根:きっとあの離職率高かったときですよね。20何パーセントっていう時で。どこかのスコアがもう極めて悪かったんでしょうね。

大野:それからおそらく10年15年の戦いの中で、今はおそらくこのプラスの11%ぐらいに入ってらっしゃるのかなって推測もしますけれども。この辺のサイボウズの歴史を振り返ってみたりするとどう思われますか?

 

サイボウズの離職率は、ビジョンの共有とともに低下していった

中根:今ちょっと私、このヒストグラム。ちょっと前に各インデックスのスコア分布っていう表があると思うんです。そこを出して頂く事できますか。ここでもしかしたら、このサイボウズの歴史の中でも、いろんなこうカテゴリーによってスコアの分布が年代で変わってきてるんだろうなと思うんですけれども。

特に今こう見た時に、スコアが悪いなって顕著に思うのが、想いってところなんだろうなと思う。特にこれスコアが低い所が多いなあと思うんです。一方で、旅の仲間と繋がりっていうのも、まあ決して高くはないですけれども。多少まだ希望が持てるかなっていうところにあるんだって思うと、もしかしたらこの旅の仲間とか、つながりって、良くも悪くも日本って会社にいる人っていうのは仲間ではあったんで、長い時間一緒にいる仲間だったかもしれない。そこで良い面は出てるのかもしれないと。一方で、でもそこで自分が何をしたいのかって、自分のビジョンを持っているか出し切れないっていうところは、この想いにあったのかな?なんて言うふうにこう見ながら思っていて。先ほどの大野さんの質問で思うとですね。サイボウズの離職率高かった時に、高くてこの会社なんとかせにゃならんなっていうことで、みんなに話を聞きながら変えて、ひとりひとりに話をして、出てきたところっていうのは、実は想いのところですよね。

それまで情報サービスを通じて、世界の豊かな社会生活に貢献するっていう理想だったんですよ。ビジョンだったんですけど、そこに想いがあまりなかったわけですよね。自分たち、何したいの?って。グループやいい情報を共有ツールを作ってお客さんのために提供したいんだ。いやこの機能めちゃくちゃ便利じゃん!これ会社が良くなったよ。風通しよくなったよと言われるのがやっぱり自分たちが嬉しいんだって、やっぱこの自分たちの想いみたいなところとチームとしての想いみたいなのがこう一致してきて、やっぱり離職率が下がってきたんですよね。だからこの想いっていうところは、本当に大きなポイントなんだろうなって思いながら見てました。

野田:今の中根さんの本当おっしゃる通りだと思っていて。日本の会社って、やっぱり共同体的側面強いですから、旅の仲間とつながりってまあ悪いとは言いながらも良い方なんですよね。ところが、コアのところであるところのわがままと想いっていうのが低いんですよ比較すると。これ両方重要なんだけれども、よりそのコアのところがやっぱ問題抱えてるんだと思うんですよね。多分変態はこれ総合指標だと僕は思っているので。旅の仲間とつながりと、わがままと想いってここが2分されて、この想いわがまま、まずいなって感じは受けますね。

大野:なるほどありがとうございます。今結果を見ていろいろ衝撃的な状況なんですが吉田さんどうです?どうでしょうNECネッツエスアイを思いつつ。

吉田:そうですね。今僕も全く同じで、やっぱりこのわがままと想いっていうスコアが悪い方向にすごく大きいっていうところなんだなと思いながら。先ほどお話があったオールフリーディスカッションをやったときに、先週ですね。2年目の方が挙げてきたのが何かというと、就職する前はたくさんの夢がありましたと。想いが沢山あったと。なので、いわゆる日曜日でサザエさんを見たら、明日月曜日になったり憂鬱になるっていう気持ちがさっぱりわかりませんでしたと。で、今一年経って憂鬱でしょうがないんですって。

それは何でだろうと言った時に、多分、入ったらこんなこともしてみたい、あんなこともしてみたい。きっとこういう風に自分が働いているんだろうなあっていう風に理想的な姿をイメージした時には、すごく楽しかったんだけど、実際に入ってみたらそうではなくて。それもいつの間にか自分がやりたいことっていうのがどっかに置いてきてしまって。で、やれと言われていることをただやっているだけの人間になったと。なので、きっと自分は月曜日に会社に行かなきゃいけないっていう風になったら憂鬱になっているんだと思いますっていう話になって。どうにかそれを取り戻す為の仲間が作れないか、っていうのが実はその提言だったんですけど。

非常に面白い提言で、聞きながら思ったのは、多分、これって元々あったんだけど、失ってきちゃった、もしくは、あったはずなんだけど忘れちゃったことが、多分ここの層にはたっぷりあるんだろうなという気がするんですね。なので、あったものがなくなったっていうところは、あったものを多分なくしてしまう何かがやっぱりあるんだと思うので、それがやっぱり会社なのか組織なのか、今も話してたんですけど、やっぱり会社って何かをしなければいけないとか、こうなければいけないとか、この数字を達成しなければいけない、とかっていうマスト条件のところが先にどうしても立ってしまうので、個人の想いっていうのを大事にするとか、個人の想いの中から何かを作り出すっていう風に、なかなか会社の仕組みとか経営の構造の中に反映されない状態が一つはあるのかなっていう気はちょっとしますね。

ただ、もう一つ言えるのは、このマイナス傾向って一つは不満分子ですよね。で、不満分子って、私もそうですけど、不満だからどうしてやろうかっていうふうに思う思考が働くのと、不満がどんどん悪くなって腐っていくのと、ここの境目もなんかどっかあるのかなっていう気もちょっとしますね。

 

「誰も幸せにならない」状態を生み出しているのは?

大野:はい、なるほど。ありがとうございます。そうですね。

さて平田さん。今フリーランス協会の立場で見ていて、会社で働いている人ってこんな感じですっていうのと、さっき野澤さんのところの人達はすごい満足度高いですっていうお話が対比的にもあって。フリーランスの人たちってすごい満足度生き生き度高いですよっていう一般的なデータもあると思うんですけど、今のこの会社のKXスコアのある種の低さと見比べて、どんな印象を持ちましたか?

平田:そうですね。もう本当に最初の印象は「これ誰が幸せなのかな」っていうことで。やっぱり働いている方々が、幸せそうじゃないっていうことがデータからわかったんですけれども。それってやっぱりひきいてる経営者とかリーダーともそういう会社に対して想いが一致してなかったりとか、守ってる人を束ねて率いていくですごく大変なことだと思うんですよね。それだけ社員に無理をさせて、すごく企業とか社会が成長してるんだったらまだしも、日本で諸外国からもう生産性低い低いって言われて結果も出せてないと、もう誰も幸せじゃない状態なんだなあっていうのがこう明らかになってるわけですけれども。

その時に思うのは、なんでこれが逆に維持できているんだろうっていうことで。それって日本の流動性が低いということがすごく関係していると思うんですよね。多分ほかの国だったら、こんなに社員が幸せじゃない会社って人が集まらなくて潰れちゃうと思うんですけど。日本ってそれでも続いちゃうっていうのは、みんなこう必死で我慢しながら、月曜日憂鬱になりながら、それでも会社に行っちゃうっていうのはすごく得意な社会だなと思うんですよね。

さっきニューホライズンの話もありましたけれども、あれも最初取り組みが発表された時に、労働者を切り捨てるのかとか解雇だとか、反対する労働派の人たちが結構いたんですよね。でも、ふたを開けてみれば、こんなにみんな幸せですということが明らかになっている中で、その安定した雇用とか、会社に勤める、安定的に長く勤めるっていうことが幸せだっていう幻想をいだいてしまっているっていうのが、この状況を乱してるんじゃないかなと思っていて。

変えていくのはひとりひとりだっていうお話ししましたけれども、それはひとりひとりが立ち上がって自分の会社を変えるんだっていうエネルギーでもいいと思いますし、最悪、KXスコアが-100とかだったらもう転職してもいいよって言ってあげたいなあっていう気持ちにもなるんですけれども。やっぱりそのときに私たちはもうとっくのとうにその流動化を雇用形態レベルで求めてですね、自分たちでやっていくっていうようなことを選んだ人たちがフリーランスですけれども。あと会社に守られていないといけないんじゃないかっていう不安の裏返しが、この不幸な状況を作っちゃてるんじゃないかなっていう気がしてならなかったです。

大野:先週のNHKスペシャルでも、企業依存社会っていうテーマで賃金なのか雇用なのかっていうことで、日本社会はずっと雇用を守ってきたっていう。これは国も企業も個人も労働組合もみんな雇用を守ってきたっていうことが言われていましたし、一方でそのアメリカではこのコロナのパンデミックを受けてI quite、大退職時代に入っているっていうことが言われているわけですよね。
ですから今平田さんおっしゃるように、こなんだったらやめたらって言うことが力学として働いてないってところがあるような気がします。まさにその転職市場をずっと見ている藤井さん。今の平田さんの指摘を受けてどうですか?

藤井:本当に外には選択肢があるのに、選択をしないのか、させないのか、したらいけないんじゃないかって思うような、そういう社会になってるっていうのが、何か調査から見えてきて。もっといろんな食べ物とか洋服とか世の中の暮らしの中には選択肢がどんどん多くなっていますけれど、働くに関しては選択肢が多いんだけど選択権がないっていうようなそんな感じがしていますよね。

それに絡めてもう一つ、さっきの調査で感じるのは、テレワークもそうですけど、すごいテレワークやってよかったよっていう方とすごい仕事やりづらい二極化があるのと同じで、さっきもKXインデックスもすごいいい人と悪い人の二極化が職場の中に混ざってるっていう風になってるってすごい大きいなあと思っていて、冒頭の無意識と意識の呼吸の話で言うと、生き生きしている方、すごい深い深呼吸ができているような感じですけど、一方で、もう焦って生産性においまくられている人たちは、テレワーク1日中ミーティング入れられて、間もなくって呼吸も浅くなっていてマスク取ったのにコロナが終わって鎮静化したのに息苦しいっていうそういう感じになってるので、もう一回個人と組織と社会全体の呼吸を、もう一回深呼吸するっていうのがすごい大きな宿題になってるかなっていう感じですね。

大野:うん、なるほど。深呼吸ね。

今チャットの方に本間さんから、このデータってもっと非正規の人が入ってきたらもっと低くなるんじゃないっていうコメントを頂いていて。僕たちもそんな感じはするなと思いますけど。その日本ではこの数10年間非正規っていう人たちがものすごい比率が増えてきたっていうその辺がとらえてくるとまた更にことは深く重くなりますかね。野田さんどうでしょうね

野田:いや、そうとも限らないかもしれないよ。非正規だから想いが持てないだとか、そんなこととは限らないかもしれない。いわゆる正社員ということの方が、ここの会社から追い出されちゃったらどうしようみたいな不安のあまり、すっごく自己規制、自己検閲をしてるっていう図式の想像つくから。派遣だからフリーランスだから、たぶんスコアはもっと下がるだろうっていうふうに安易に決めつけるのは僕は間違いだと思う。でももちろん、逆にフリーランスの方だからこそある不安とかいうのもあるかもしれないからね。これは決めつけないで、さらに調査を深めていかないといけない分野じゃないですかね。

特に日本人の場合、不満に強く不安に弱いっていうことが脳生理学的にももう示されつつあったりするんですね。不安というのは何かというと、漠たるものなわけですよ。なぜだかわからないけれども気持ちがわさわさしてしまうことが不安ですよね。でもそれをちゃんと何が原因で、それが起こるとどういう確率で何がどうなるかっていうことが見えてくると、実はそれって課題に変わってくるわけですよ。だからもしかすると、今のその流動性の話も、会社辞めたらダメなんじゃないかってボヤンと思っているうちは不安ですから。そこ日本人すごく苦手なところですよね。でも実際に移動するっていうのは、こういうことでこんなリスクもあるけれどもこんなメリットもあってみたいなことをちゃんと見える化されていくと僕はまた状況が変わるんじゃないかなというふうに思いますけどね。

大野:ありがとうございます。

 

あなたが、そして私が会社を作っている

大野:研究会のコアメンバーのサイバーエージェントの曽山さんとイェーイの島田由香さんからもコメントを動画でいただいてるんで、動画のコメント聞いていただきたいと思います。

曽山:この調査めちゃめちゃ面白いですね。今まで設計されていたことがやっぱりあってたみたいな感じをすごく印象を受けたので、もう数字で現れて余計すごく自信になったと言うか、やっぱこの方法やっとけばいいんだなって思えたってのはすごく良かった点ですね。

昭和のカタカナの会社に居る歯車としての個人ではなく、自分らしい個人というものを発揮できる可能性があるっていうのが多分TOP3割は大きく分かれている感じなんだと思ったんですよ。なので、このトップ3割ぐらいに入ると会社のルールとかも色々あったりするけれども、基本的には自分がチャレンジすれば良いっていう、ベクトルが自分に向くんですよね。これがないのは自分のせいもある。会社の問題もあるけど、自分で未来を切り開けるとかなるので、より主体性が生まれやすい雰囲気だなあっていうのを感じてすごくいいセリフだなあっていうふうに思いました。

島田:データ自体はやっぱり悲しいなあと思った。これが現状なんだって。それは一番自分の近くの人、つまり上司と言われる人だったり同僚と言われる人だったりとの関係性、日々の関係性がここに出てるわけだから。こんな低くてウェルビーイング高いわけがないので。これはもう私がやってるウェルビーイングを上げるっていうことの課題がこんだけあるんだなあと思って燃えています。やりたいな。

会社っていう生き物はないんだってことをずっと言ってきていて。何かあると会社がーって言うけど、それってでもあなたが、だよっていう。だからあなたの会社の一部であり、あなたが会社を作ってるんだからねっていうことは、あなたのことであり私のことなんだよっていう、どっかになんか理由を求めて他人事のままになってることのあらわれだったと思うから。

大野:うん。今島田さんの最後のコメントにあった、「やっぱり自分自分のことなんだよね」っていう問題意識が重要な感じがすごくするんですけどね。

 

KXスコアと組織タイプの関係は?

大野:野田さんね、このデータを見るとスコアの高い会社っていうのは、実はある種組織体制としてベンチャーだったり小さい会社だったりそういう会社なんじゃないかなっていうふうに思うところが感じるところもあるんですが、実は違ったんだよってこの調査で結構わかったところがあって。野田さんのアドバイスもいただいて。

この組織タイプとのこの結果のクロスというのを取ってるんでちょっとここを野田さんの方から少し話していただいていいですか。

野田:このフレームそのものは、大変古いもう本当に古い古いフレームなんですけれども。でも逆に言うと大変教科書的なわかりやすいフレームなんですね。昔アメリカの企業と日本の企業をそのマネジメントスタイルですとか価値観なんかで分類したらどうなるのかっていうことをかごの先生とか野中先生なんかがやった本なんですね。

全部で4類型ありまして、特に日本型に多かったのがこのH型っていう風に書いてある人間というものを最大の資源にしつつ、強みとしてはオペレーション。なんか新しいものを生むというよりもその生産プロセスとかそういうものを極めることによって競争力を高めてこうっていう日本型ですごく多かったやつです。一方でアメリカの先端的な企業っていうのは、右下のS型っていわれるどちらかというといい良い商品をイノベーションで作ろうということ。だけど、一方でそのきっちりとした大企業のピラミッドを作って考えていくみたいなビューロクラテックスダイナミックスをもっているっていうこんな人間関係だけで言われないルールと組織でやるっていうやつだったんですね。GEなんかが一番典型的な例です。それが古くさくなってくると、ビューロクラティック型B型ってやつで、大手の製鉄メーカーさんなんかがこれにあたり、今度逆に別に組織とかそんなもないんだけれども新しいイノベーションで勝負をかけているベンチャー型みたいな全部でこの4類型が考えられるというふうなのがそのパターンだったんですね。

今でも企業分類するとだいたいこの4類型に今でもなるわけなんですよ。なのでそれぞれとそのKXインデックスがなんか関係があるんじゃないかと思って、ちょっと入れてみたわけなんですね。例えば仮説としては、V型とKXというのはすごい相関があるんじゃなとまず思ったわけです。言い方変えるとV型だったらみんなKXじゃないかとかって思ったりしたんですね。ところがどうもそうではないということがわかりまして。そのKXスコア、確かにそのKXスコアとある程度相関は確かにあるわけなんですよ。そのKXスコアが高いとユニークな製品サービスを生み出しているか続けている会社っていうのはある、高くなるのはいいんですけど、例えば他のを見ていただくと、H型でも同じようなことが言えるんですね。H型でもKXスコアの高い人ほど、いやうちはH型としてちゃんと極めてるんですよ、うちはH型としていい会社であるんですって言ってるわけです。それでS型も全く同じことを言って、やっぱりKXスコアが高くなるとうちはS型としてちゃんと極めてるいい会社なんですっていう風に考える率が高まるんですね。でビューロクラティック型ですら同じ事をいう。これ一体何なんだろうってことなんですよ。我々はごくごく単純にベンチャー的で、ってことは多分規模も小さくて和気あいあいしてたらば、みんなKXが高い。でもほかの会社なんか全然ダメだよねと思ってたらそうじゃなかったってことなんですね。これは大きな知見でして、どのようなタイプの会社であったとしてもKX度高く社員にとっていい会社であり続けることができる。これはものすごく大きな発見なんです。

私はびっくり仰天をいたしました。だからビューロクラティックだっていい組織っていうのはありえるんだ。言われてみればそうなんですよ。ビューロクラティックだから悪いなんて誰も言ってませんからね。環境に合わせてビューロクラティックであった方が良い会社って絶対にあるんで。その中においても人々を生き生きとさせるってことがあり得ちゃうっていうのは、これは私は自分の頭の中で今までの常識を塗り替えさせられるような驚きだったんです。

もちろん、もっともっとくわしく調べてみないといけないんですよ。ですから、まだまだやらなきゃならないんですけども。これ重要なことです。そうすると先ほどチャットの中にありましたけれども、ティールとかグリーンとかアンバーとかとの関係が見たいって出てたじゃないですか。想像ですけど、多分ティール組織ってKXスコア高いと思います。でも、それもしかすると因果逆でKXスコアが高くないとティール組織として成り立たないんですよ。条件的なもの作って突合するとね。ティールだからKXするのではなくてKXの高くないとティールみたいな難しい組織運営がうまくいかないってことなのかもしれない。でも逆に言うとアンバーでもKXが高いという組織はあり得るということですよね。まあレッドでKXが高い、それはさすがにないんじゃないかと思いますけれども、ものすごく面白い結果が今回出ましたよね。

大野:結果について、サイバーの曽山さんからもコメントいただいてるのでお聞きください。

曽山:組織の形がなんでもいいんだっていうのが、経営者とか人事の人には勇気を提示できるものじゃないかなというふうに思いました。やっぱり実際スコアが高い会社って、それはどこどこ社だからできるんでしょってみんな言いたくなるんですけども。あの4分類であってもどの分類でもすごくハイスコアとれるんだということで言うと、組織の形はなんでもいいんだといえるんですよね。それがなんかすごく私の中では、そのビジネスモデルに合ったものとか、そこに居る人達にあったものがその業界に合ったものとか、そのモデルに合ったものに組織を作れば良くて、それでもどの形式でもその非常にKXになるようないい組織が作れるんだっていうのが出せたっていうのは極めて大きいと言うか、経営者と人事が良い意味でポジティブな意味で言い訳ができない。やってるかやらないかは経営者と人事の責任であるっていうふうに自己反省できるようなデータだったっていうのがすごく良かったです。

大野:はい。曽山さんからもこんなコメントを頂いてまして、まさに今の野田さんの指摘と同じような感覚を現場の人事の責任者として感じたっていうところだと思います。

野田:逃げ道がないっていうのはいいね。例えば、今企業でやっていますけれども、官僚組織とかね。うちは官僚組織だから生き生きできなくていいんだよ、なんて言えないんだよ。生き生きとした官僚組織は充分に考えられるってことですよ。

 

会社はひとつじゃない。組織タイプが混在している

中根:野田先生、いいですか。今ここって組織って書いているじゃないですか。会社って書いてなくて組織って書いていますよね。このH型・B型・V型・S型って一つの会社の中でも部門とかチームによってこれ混在していると思うんですね。

野田:その通りですね。

中根:われわれの会社でも、そのティールを、すごいみんなで議論した時があるんですけれども。コメントでも書かれたようにティールがいいかというとそうではなくて、やっぱり今そこに居る人、で今そのチームが達成したい理想であったり業務の内容っていうのによって、ティールじゃダメなんですよ、成果が出ないんですよ、っていうものもやっぱりある。ので、その組織に合ったもの、もしくはそのチームにあったものでその人とチームにあったものがその人一人が希望、私はこんな組織でこんな仕事が達成できたらいいな。で、チームとしてはこんな組織でこんな成果を達成したいなと思うようなこの期待。ここがやっぱマッチしてるっていうか、バランスっていうのがすごい大事なことで。チームはB型でやりたいのに私はV型で行きたいっていうここ、ここのギャップがないっていうのがまずすごい大事なんだろうなあっていうふうに思いますけどね。主体性を持ってそのチームに関われる一つの大きなベースになるっていうので。

野田:組織論ではもう昔から、金科玉条のごとく言われているのはコンテンジェンシーセオリーってやつでして。今あの唯一絶対の解なんて存在しないっていうのはもう組織論の中で当たり前のことになっているんですね。これ昔は唯一絶対の正解探してたんですよ。組織論者も。1967年以降それやめたんです。そうじゃないってことが証明されちゃった。組織というのはすべて環境に適応しているかどうかによってパフォーマンスが変わる。だからやっぱりティールじゃあとてもじゃないけどパフォーマンスが出ないような業種・業態環境ってあるわけですよ。でも逆に言うとティールだからこそ、こういうパフォーマンス出るよねっていう環境とか業種とか仕事もある。

大野:この点については、もうまさに超巨大企業NECの中で戦っている吉田さんが何か多分言いたいことがあるんじゃないかと思うんですが。

吉田:今のお話ずっと聞いていて、確かに会社っていう1個体で見るんではなくて、多分そこに入ってる、そこに存在している、例えば上司だとかもしくはそのチームの環境だとか、もしくはやってることによって、多分みんなそれぞれ違うんだろうなーっていうふうにはちょっと思いますね。

野田:文化が、昔の既存の事業によって培われたものである可能性があるんですよ。

吉田:そうですね。

野田:ですから、あの事業にはある文化ある組織形態が極めてコンティンジェントなんでパフォーマンスが出るんだけど、事業が変わっちゃって環境が変わっちゃうと合わなくなっちゃうんですよね。これ。文化とかルールとか組織の方を変えざるを得なくなるわけです。

吉田:そうですよね。ですからさっき冒頭もちょっとお話しましたように、基本的にはもう入ったときには、歴然とあったんですよ、文化も組織も。ある意味いうと、今先生が言った解はないって言ったんだけど、そこにはきちんとやっぱり解があったんです、もうすでに。そこのところがやっぱり適合しにくくなってるっていうのは事実です。やっぱりそこに合わせて、どう変わっていくのかっていうことが、どう柔軟に動けるかなんだよなあ。でもどっちが先なんだろうな。

平田:どっちが先かっていうことの解になるかわからないですけど、スタートアップでも文化を創るってものすごく大事なアジェンダとして特に成長してる企業ってめちゃくちゃ考えて投資もしていると思うんですよね。文化ってこう自然に出来上がるものではなくてやっぱりしっかり投資して、みんなでこういい組織にして行くためにどういう文化を築くべきなのかみたいなものを喧々諤々と常にこうやり続けるものなんだろうなと思うんですけど。硬直してしまう組織っていうのは、何となくこれまでの成功体験がいろんな人の考え方の積み重ねでこうなんとなく出来上がった物をそのまま踏襲して更新するとか変えるみたいな思考停止してしまうと、やっぱり文化が衰退するんじゃないかなって思うので、まあ新しくても古くても常にやっぱり作り続ける意識が大事なのかなと思いました。

大野:おお。野澤さん、今ニューホライズンで文化を作ってる最中なんですかね?

野澤:そうですね。なんか文化を作ろうっていう意識はないはないんです。実は結構いろいろ話を聞くと、それぞれのニューホライズンはこうなったらいいんじゃないかっていうのが勝手にあるんですよ。自分の会社でも所属している組織でもないのに、なんだかみんな勝手にやって、ちょっと集まったりすると結構わあわあそれをこうもっとこうした方がいいんじゃないか、あぁしたらいいんじゃないかっていう議論になったりするんですよね。
で、今平田さんがおっしゃってたように、確かにその自分ひとりが、なんかもうガチガチに固まってしまった文化を変えられるっていう意識があるかどうかって結構大きいなと思っていて。やっぱり、何か自分が言うことによって自分がアクションすることによって仲間とこうしゃべることにその文化が少しでもゆるんだり変わってたりするなんかそういう実感があるかないかで、結構その満足度も変わるのかなと思いました。野田先生、結構ちょっと前の調査で、世界の若者に自分は社会を変えられる気がするっていったら、だいたいアメリカとか中国でも6、7割はあるんだけど、日本が確か17%みたいな異常に低かったり、そういうこう無力感というか、なんか組織とかなにかでかいものにあった時の、自己効力感がない感じみたいのがなんか、もしかしたら脈々と悪循環としてなっちゃってるのかななんて言う気がしましたね。

野田:ある種、どうせどうせダメだっていうようなことを小さい時から学習させられちゃってる可能性があるんですよね。これはね、本当に日本の教育のよくないところだなというふうに思っていて、国そのものがまさにその無力感に襲われているような危険性がありますよね、これね。

大野:中根さん。サイボウズは、企業理念を毎年株主総会で議論するんだみたいなことも取り組もうとされていらっしゃるわけですけど、そういう文化を更新していくというかイノベーションしていくみたいなところで、今どんな感覚で捉えてらっしゃいます?

中根:そうですね、変更がなければ毎回は出さないんですけど。文化は、私たちに大事にしたいカルチャーっていう理想への共感とか自立と議論とかあるんですけど。その単語自体はもう随所に出てきます。そもそもわたしたちがパーパスとして掲げているチームワーク溢れる社会をつくるの「チームワーク」っていう単語はしょっちゅう出てきますね。
で、ひとりひとりがそれをこうしたいっていう思いがあるっていうのもそうなんですけれども、もしかしたらひとりひとりがあえて出して確認してるっていうのもあるかもしれないですね。それによって、いろんなことがアップデートされてるような感じはします。特にそれって公明正大、公明正大って何?これって公明正大なの?みたいな事は経営会議でもよく出てきます。

大野:常に日常のジャッジメントの場面で出てるんですね。さっきの平田さんがおっしゃった思考停止にならないためにっていうことだとやっぱり思いますね。その日々のチェックっていうことだったり、ひとりひとりの気づきだったりということがすごく大事なような気がしますよね。

野田:それがもう日常会話の中で口癖化されないとだめですよね。

吉田:今思ったんですけど、型がある程度固まった中で事業をずっと運営しているところは、次の型が見つかる、見つかったら多分安心してそっち側の方に動けると思うんですけど、今多分そのちょうど過渡期なんですね。NECグループみたいな大きいなところは多分そうなんだと思うんですけど、その過渡期のところに、型ができていない時に自らやっぱりこうやるべきだこういう風に動くべきかもしくはこういったことをやってみようっていうところになかなか動いていかないんで、誰がやるの?誰が決めるの?っていうようなところで、今中根さんが言ったようにやっぱり共通のワードだとか、みんなが向かっていく方向性で、どっかで一致するもの、常に思考としてみんなが一緒になれるものっていうのが今失っちゃっている時期なのかもしれないなって言うのはちょっと聞いていて思いましたね。

中根:でもね、吉田さん。解釈が一致してるかというとそうでもなくて。割れる時もあるんですよ。私たちが目指している多様ってなんだ?って。いわゆるわがままあるじゃないですか。あのわがままも一杯うちの中でも出てくるんですけど、これは認めたい多様性なのか、私たちとして受け入れられない多様性なのか、何なんだろうと思うんですね。

大野:その割れた時って最後どうなるんですか?

中根:それぞれのその項目において、最終的な意思決定者がいるので、意思決定者がいろんな人の話を聞いた上で、今回は私はこうだと思うからこのように判断・ジャッジしますと。

大野:最終的な独裁も必要だよねとおっしゃっていましたよね。

野田:衆議独裁だから、きまらないと変なことしちゃうんで、間違ってたら次にまた変えればいい。

 

KXとは「一人ひとりが自分自身を主人公にできる環境」を創造すること

大野:ギリギリになってきましたけれども、最後に今この場のこの対話を聞いていても、この調査は、まだまだかなりいろんな視点から深堀しなきゃいけないかなって感じだけども、豊田さんどうです?ディスカッションを聞いていて。

豊田:はい、ありがとうございます。興味深いのは、後半の話にどんな会社のタイプとか組織のタイプに置いたようなことが見えてきたという話で。例えば、さっき吉田さんがおっしゃっているような、企業がこう変わろうとするいろんな局面とかAからBにシフトしていくとかって、おそらくどういうときにおいてもAからBに代わってにおいても多分KXスコアは、そのものが多分高いこと自身は明らかに良いことであり、おそらく高いとその移行そのものをスムーズに行くっていうことが言えるっていうことなんじゃないかと思うんですよ。

KXスコアって会社を表しているというより、そのもう一個下のレイヤーの文化だとかっていうよりも、もうちょっと下のレイヤーのある種のコンディション、人がまさに何らかの形で立ち上がるっていう、そういうものを表しているんで、だからどういう会社のタイプにおいてもきくというものになってるんじゃないかっていうふうになんとなく思うんです。

もともと経営モデルみたいなことを作ろうなんてことをこのプロジェクトのお題としていただいて、我々が作ったのは経営モデルというよりも、もっと基本的な、人一人ひとりが自分自身を主人公にできる環境そのもので、これはどこに置いても当てはまるっていうことをここから先は調査もそうですけど、いろんな形で検証したり実験をしていけるといいのかなというふうに思っています。

大野:KXの行動指針っていうのは、「私から始まるKX」で、まさに自分自身あなた自身から始まるんだよね、だれかが変えてくれるんじゃないんだよね、っていうことをもうすでに謳っているわけなんですね。これを進めるためにこのKX部っていう活動を始めていて、この結果を見て島田由香さんからこんなコメントもいただいてます。

島田:このデータを得た私たちこそある意味責任があると思うんですよね。あれやったんだから、じゃあどうやって変えてくれって。しかも楽しくですよ、部活的に。そこに私たちの存在意義が改めてあるんじゃないかなと思ったので。

大野:はい。ということで、やっぱり僕たちにも責任があるよねって。言いだしちゃったしこれ知っちゃったんだよねっていうところだと思います。
最後に一言ずつだけご意見、今日の感想をいただいて、これからの指針にして行きたいと思いますが。

野澤さんがちょっとギリギリなんで一言だけまず先にお願いします。

野澤:はい。皆さんありがとうございます。皆さんのお話を聞いていると、データを見るとちょっと暗くなるところもありましたけれども、それだけこうリフトアップできるような仕掛けとかいろいろあると思いますので、ニューホライズンがいい意味での実験台になりまして、皆さんにまたいろいろいいデータとかフィードバックできるといいと思います。これからもよろしくお願いいたします。

 

大野:ありがとうございました。今日この一時間半、毎回の事ですが、ジェットコースターのような時間だったんですが、一時間半のディスカッションを受けての感想を一言ずついただきたいんですが、中根さんからいただけますか。

中根:ありがとうございます。今日このスコアを見ていて私も勉強になりました。そして思ったのが、このスコア自体もこの全体の平均というか全体を数字で表しただけでしかないので、本当はひとりひとりを見なきゃいけないんだと思うんです、これも。
なので、私たちもいろんな調査をしたりもしますけど、調査っていうのは全体の傾向を見るだけであって、大きなストリームはわかるけれども、やっぱり一人一人が主体性を持ってそのチームにいることに誇りを持てるかっていうところに着目しながら、対応して行くのが一番の実は近道なんじゃないかなっていうふうに思いました。ぜひ想いとわがままのスコアを上げていきたいですね。

大野:今日は非常に鋭い指摘もいただきました平田さん。今日の一時間半いかがでしたか?

平田:今日、議論の中でも、私も日本の生産性が低いとか教育がとか日本主語で話しちゃったこともあったんですけど、大事なことは3割しかいないけど、KXスコアがプラスの人もいるっていうことだと思うんですよね。だから、日本だからダメってことではなくて、このイベントに参加されてる方も多分すでにKXされている方とか、したいって心から思ってる人たちだと思うので、諦めずに変えていきたいなと思いました。

大野:はい、ありがとうございます。さていろいろ悩ましいなあとおっしゃっていた吉田さん、いかがでしょう。

吉田:本当にありがとうございます。もうずっと悩ましいし、ちょっと正直言って今混乱しているので、あんまりまとまった考えが言えないんですが。
ただ一つ言えるのは、前におっしゃった通り、基本的にはこれが上のところの層を見るよりも下のところの層を見て、ここを変えていく原動力なんだって、これがエンジンになる可能性があるんだっていうところをどう育てていくのか。それから、上のところ、さっきも言いましたけど、やっぱり不満分子っていうのは変えていくっていう一つの原動力なので、真ん中のところはもしかしたら、プラマイ0は、モラトリアムなのかもしれないなという気もするんですよ。なので、そういう意味では、サンドイッチになっているところの変え方をどう背中を動くつもり押せばいいのかっていうことを考えなきゃいけないなと思いながら。いい意味でだいぶ混乱しました。でもすごくいいデータでありがとうございます。

大野:はい。まだまだこの議論を続けていかなきゃいけないと思うんで、よろしくお願いします。さて藤井さん。今日話を聞いていかがでしたか?

藤井:ありがとうございます。そうですね、もう本当に今回こうやってアンケートで聞いたからこそ隠れていた声っていうのが出てきたと思うんですね。なので世の中には自分から想いを言える人もいるんですけど、一方でちゃんと聞くっていうことが実は想いを前に出していくすごい大事なことだと思っていて、これからコロナの新生活とマスクが取れてみんな口でいったりとか、データで見るっていうような意識のところが強いんですけど、耳とか鼻とかって無意識のところでちゃんとお互いの想いをきくっていうことが、次の未来にすごい大切なことで。実は聞くってすごい時間かかるんですよね。なんですけど、それの方が実は、すごい力強い新しい会社になっていくんじゃないかなってそんな気がして、ちゃんとしていかないといけないんだなとそんな気がします。

大野:はい。ありがとうございます。じゃあ最後野田さんいかがでした?

野田:はい。これアンケートをやったからこそ見えたものがある。まさにそれ知っちゃったんだよね、僕らね。知っちゃった以上は、これどっちかの方向に持っていかなきゃいけないっていう責務もあるわけでして。ここで困ったねって他人事にしていたら今までお前ら何言ってたんだよって話なっちゃうじゃないですか。僕はやっぱり今、うちうちではちょっとお話をしているんですけれども、コンヴィヴィアルっていう概念をちゃんと出そうじゃないかというふうに思っていまして。コンヴィヴィアルカンパニーっていうことを主張したいなと思います。でこれコンヴィヴィアルって英語でひくとわいわいがやがや宴会みたいなのも出てくるんだけど、実際には自律共生って意味なんですね。会社に隷属するのではなくて、会社といい関係をもう一回再構築するっていう意味で、コンヴィヴィアルという言葉、社会学の方の言葉ですけども使って、コンヴィヴィアルカンパニーをちゃんと作っていくということが僕らの責任になってくるんじゃないのかなって今は感じているところです。ますます責任が重くなっちゃったなというふうに思いますけれども、楽しんでこれを実現していけたらいいなあって改めて思ったのが今回の調査でしたね。

大野:ありがとうございました。皆さん今日チャットで非常に深いコメントをたくさんいただきましてありがとうございました。非常に参考になりましたし、この場に集った皆さん同士の学び合いの場にもなったと思います。このサイトの告知と来月の部会の告知を最後にお願いします。

豊田:KXですが、ようやく最近サイトを作って今まで言ってきたことをまずちょっと体系的にまとめ始めました。まだ作りたてのものですけども、この中でどんどん情報発信をしていこうと思います。開けていただくと今日のセミナーと合わせて10月14日に部会、今日もKX部っていう言葉が何度も出て来ますけども、こんな活動を今年の5月から始めています。毎月第二金曜日夜7時から9時まで。次回は平田さんにご登壇いただいて。フリーランス協会っていう組織そのものが、これがなかなか面白そうです。そこで平田さんにいろいろ語っていただくということで。また、KXインデックスを作ったこのフレームそのものをひとりひとりが使っていくような道具・ツールを実は今作ろうとしています。会社を見たときひとりひとりの心の中で会社はどんな風に見えているのか、そんなことを見ながらひとりひとりが何かKXを始めていく、その道筋をつけられるようなツールになりそうだなと思っていて、それをどこかのチームで実験する。そんな方々を実は募集したい。そんなことを今企てています。是非お越しください。

大野:はい。それでは皆さん、今日はありがとうございました。少し時間過ぎてしまいましたけれども、今日のオープンフォーラムはこれで終了したいと思います。退場時にアンケートのご協力よろしくお願いいたします。ご登壇いただいた皆さんも今日はありがとうございました。お疲れ様でした。