ライフシフト・ジャパンでは、ライフシフターの生の声を直接聞いて交流できるイベント「LIFE SHIFT LIVE」第5回を2018年9月27日(木)に開催しました。(告知ページはこちら
今回はNPO法人ファザーリングジャパンとの共同開催で、テーマは「ソーシャルに働く」。ゲストは元女子プロサッカー選手で、現在は大学職員をしながら、「スポーツ×ジェンダー×国際」をテーマに様々な社会活動をされている野口亜弥さん、そして会社員生活と多くの地域活動・ボランティア活動を両立されている片岡博さんです。会場は小規模なスペースで、登壇者と参加者の距離が近いアットホームな雰囲気の会になりました。

能動的に人生をデザインするための社会活動

オープニングはライフシフト・ジャパン代表兼ファザーリングジャパン代表の安藤哲也から、自身が社会的な活動に参加することで得てきたものや、人生100年時代を楽しむために大事なことについてお話させていただきました。

安藤
私は子育てを通して地域の活動にコミットするようになり、それが自分の中に大きな変化をもたらしました。人生100年時代というものを、リスクヘッジの観点ばかりで捉えるのではなく、能動的に自分の人生をデザインしていくためにも、ソーシャル活動や人とのつながりを増やし、無形資産を貯蓄することが大切です。

自分の軸を見つけて活動の中心に据える


続いて一人目のゲスト、野口亜弥さんです。野口さんは3歳から26歳まで、サッカー中心の生活を送っていましたが、現役引退後のセカンドキャリアを常に念頭に置き、プレーする環境を選択してきたと言います。大学卒業後にアメリカの女子リーグを選んだ時は、英語を身につけ大学院で経営修士も取得。その後スウェーデンのプロリーグで活躍しました。
現役引退を決めてから、サッカーと同じだけ情熱を注げるものを探すため、アフリカのザンビアへ渡り、国際協力の分野で「スポーツ×ジェンダー×国際」という今後の自分のテーマを見つけます。帰国後はスポーツ庁に勤務。その後さらに活動を深めるため、現在は大学職員として働きながら、多くのNPO団体や社会活動に参加しています。一貫した姿勢を貫く野口さん。元アスリートとして、女性として、ソーシャル活動を通じ実現していきたいことを語ってくれました。
🔗野口さんのライフシフターインタビュー記事はこちら

野口さん
ドイツのサッカーフェスティバルで、スポーツで世界がつながる現場を見てすごく素敵だと感じました。と同時に各地域の女性が直面している課題を知り、世界に存在する不平等さを実感。「スポーツを通じ国際的なジェンダー平等社会を目指す」という私の活動テーマを決めました。
国家公務員時代は自由な時間が少なく、活動への参加も制限されましたが、大学職員になってからは社会貢献活動も業務のひとつなので様々な活動に参加しています。現在関わっている団体は11ほどありますが、自分の中心にある軸はぶれたことはありません。様々な団体と連携しながら、目指す社会が実現していければ嬉しいです。

ボランティア活動は自分も周りも幸せする


続いて二人目のゲスト、片岡博さん。片岡さんは現在横浜市にお住まいで、奥さんとお子さん3人の5人家族。平日は会社勤めなので、週末を中心に非常に多くのボランティア活動をされています。以前は地域活動やボランティアには興味はなかったそうですが、たまたま回ってきた町内会の理事を担当したことがきっかけで、そこで生まれる人とのつながりや活動に居心地の良さを感じ、積極的に参加するようになりました。
転職のきっかけになったのも、このボランティア活動を通して自分自身を見つめ直し、人との関わり方について考えたからだそうです。
🔗片岡さんのライフシフターインタビュー記事はこちら

片岡さん
ボランティア活動に関わるようになり、世の中には素敵な人がたくさんいることを知りました。いろいろな知識や経験が得られるのも魅力です。転職したのも、そういった出会いや経験を通して、今の仕事を続けていて良いのだろうかと考え、もっと人を大事にする会社に入りたいと思ったからです。キラキラした大人が多い社会を作りたい。子供が、大人って楽しそう、早く大人になりたい、そう思える姿を見せたいです。
それに、ボランティア活動って、してもらうより、何かをできる側の方が実は幸せだと思います。やりたいことがあればなんでもやってみてほしい。そこにはきっと発見があると思いますよ。

気さくな雰囲気のクロストークタイム

ゲストに直接質問ができるクロストークタイムでは、代表安藤とモデレーター小嶋も加わり、さまざまな意見交換が行われました。以下、一部をご紹介します。

Q.ソーシャル活動に興味はあるのですがテーマが定まりません。

片岡さん
テーマは絞らなくてもいいと思います。いろいろ行ってみて自分と合うところとつながっていけばよいでしょう。自分が当事者として体験して困ったことなどのソリューションにつながる活動が良いのでは。つながりをたどっていきながら、自分がこれは人のためになるな、と思うものからまた関係を広げていけば良いと思います。

安藤
まずはテーマにこだわらず、参加した団体の本気度や情熱がどれくらいあるかを知ることから始めても良いでしょう。熱心な人々のそばにいることで楽しめたり心が満たされたりしていくので、自分が居心地の良い活動や人々とつながりましょう。

Q.参加してみたけど違ったな、というものはありますか?またその場合はどうしますか?

野口さん
雰囲気になじまないなと感じる時はたまにあります。ただ、その組織やグループには少し入りづらいというだけなので、個人個人との関係は継続させています。

片岡さん
私はないですね。そういう考え方もあるな、そういう組織もあるな、というだけです。もし違和感があった時にはそれはどういう違和感なんだろうと、そういう意味で興味を持ちます。あとは週末しか関わっていないので、お互いに負担に感じないコミットラインをわかっていて居心地が良いのでしょう。

Q.家族の時間と活動に使う時間で、葛藤はありませんか?

片岡さん
はじめは家族よりも自分のやりたい気持ちを優先してやっていたんですが、ある時から家族の方が大事だなと思うようになりました。子供とはあと数年しか一緒に遊ぶことができないので、そう考ると家族が最優先。家事なども協力するし、そうすることで活動への理解も得られます。

安藤
私地域の関わりは、自分の家族との時間とのバランスが大事です。やはり子供が小さい時にはその条件の中で可能な関わり方で手伝う、という割り切りも必要です。

登壇者も参加者もライブだからこそ出てくる本音

今回も、ご参加いただいた方々から寄せられた感想を一部、ご紹介します。

  • お二人に共通していたのは効率的な時間の使い方。優先順位の高いものを決めたり、職場の枠を利用することなどを教えてもらい、とても参考になりました。
  • 活動テーマは無理に絞り込む必要はないこと、自分の実体験に沿ったものを選択するアドバイスなど、これからの活動のヒントになること満載で大変充実した時間を過ごすことができました。

LIFESHIFT LIVEを振り返って

最後に、本日のモデレーターであり、ライフシフト・ジャパン取締役の小嶋美代子より一言。

小嶋
片岡さんのように、ひとの繋がりから広く関わるボランティア活動と、野口さんのようにテーマを絞っての活動。頑張っているひとを支えたいお気持ちと、強い意志を持って戦略的に進む行動。
お二人の話は時に対比的な部分もありましたが、共通していたのは考えすぎずにやってみることでした。ソーシャル活動は大きな社会変革のように思われそうですが、意外とすぐ近くに参画のチャンスがありそうです。


今後も「LIFE SHIFT LIVE」は月1回のペースで開催予定です。次回の詳細が決まり次第、WEBサイト上でお知らせします。