Crew’s Life:山﨑さん、伊藤さん。ヤッホーは100点満点で何点?

 

 

「フラットであること」が、なんとも心地いい

PROFILE

山﨑紗也加さん
よなよなピースラボ

エールビールの魅力を店舗を通じて発信

社内では「さあや」のニックネームで呼ばれる山﨑紗也加さんは、よなよなピースラボという部署に所属している。オンライン、オフライン問わず、ヤッホー製品のファンや顧客とのコミュニケーション活性化を図る部隊で、通常の企業ではマーケティング部の一部署といったところだろう。メンバーは山﨑さんを含んで7名だ。山﨑さんは醸造所がある長野県佐久市内の事務所で働いているが、東京は千駄ヶ谷にある東京営業所で働くメンバーもいる。勤務時間は育児があるため、朝8時半から夕方4時半までだ。
山﨑さんが任されているのが都内に8店舗あるよなよなエール公式ビアレストラン「YONA YONA BEER WORKS」向けの営業およびプロモーションである(同店の所有と運営はワンダーテーブル社で、ビールの提供をヤッホーが行っている)。
ヤッホーのビールはいわゆるエールビールで、多くの日本人がこれまで味わってきた、すっきり味のラガービールと違って、香り豊かで、味わいも深い。飲み方、楽しみ方も異なる。山﨑さんが話す。「新しく入ってきた現場のスタッフには、そうしたエールビールの基礎知識を、古くからいるスタッフや支配人には、新製品の特徴や楽しみ方をまとめた資料を作り、研修素材として提供しています。コロナ下では、そうした紙の資料をお渡しする形ではなく、オンライン会議ツールを使い、お店のスタッフに直接お話するようになりました」
コロナの影響で、夏のかきいれ時にも関わらず、店の売れ行きは落ちている。「これまで、夏の時期はどれだけ多くのお客様に来てもらうか、という話を各店長と交わし、具体策を提案していました。今年はそれが様変わりです。コロナ禍での集客はもちろん、こんな時期でも来店してくださるお客様に喜んでもらうにはどうしたらいいか、という原点に返った話が多くなりました」

 

「ビールはアートなんです」という熱い説明

ヤッホーには2013年に新卒で入った。大学時代は美術に興味を持ち、ギャラリーでのインターンシップに参加し、将来は自分がほれ込んだ人やものを、世の中に出す仕事に就きたいと考えていた。
ところが、現実は厳しかった。広告会社を中心に就活をしたが、面接の場では「そんなにアートが好きなら、その方面に行ったら」という心ない言葉も聞かされた。受けては落ちを繰り返すうち、ヤッホーを知った。お酒好きということもあり、応募してみた。「落ちた会社と同じような自己アピールをしたのですが、ヤッホーでの反応はまるで違いました。『ビールはアートなんです』と逆に熱く語ってくれたんです。ここで働きたいと思いました」
入社後は、EC事業部のメンバーとして通信販売用のウェブサイトの作成をしたり、通常の会社の広報にあたる「よなよなエール広め隊」のメンバーとして広報活動をしながら、醸造所の見学ツアー、「宴(うたげ)」と呼ばれるファンイベントの企画、実行に携わった。

 

入社2年目で大役を任される

2年目に大役を任された。「よなよなエールの超宴(ちょううたげ。以下、超宴)」と名付けられた、1000人という、かつてない規模のファンイベントのプロジェクトリーダーを任されたのだ。会場は北軽井沢にあるキャンプ場で、一泊二日で行うことが決まった。集客できるかという不安はもちろん、夜中までビールを提供してしまうと、お客様の健康を害し、何らかのトラブルが発生してしまうことも予想された。万全のリスク管理が必要だった。
2015年5月、まぶしい新緑のなかで行われた超宴は大成功。「ものすごい達成感でした。自分の父親や母親くらいの年齢のお客様から、よく頑張ったね、と声をかけられ、感無量でした」。

 

自分の弱みを強みで補う

山﨑さんに「いかにもヤッホーらしいこと」を尋ねてみると、「フラットであること」という答えが返ってきた。「性別、年齢、社内の役職に関係なく、目的に向かい、全員が一丸となれること。ある物事に対し、関係者が忖度せず、自由に物をいえる雰囲気がある」ことがとても心地よいのだと。ガッホー文化に掲げられている「フラット」が、「ヤッホーらしさ」になるレベルまで浸透しているようだ。
自由に物をいい合えるためには、お互いがお互いをよく理解している必要がある。そのために役立っているのが、代表・井手氏へのインタビューでも登場しているストレングス・ファインダーで、その結果を社内、特にチーム内で共有しているのだ。
山﨑さんは戦略性や着想、個別化に加え、社交性やコミュニケーション力という面で強みを持っている。「何もない状態から、何かを考えつき、形にしていくのが得意だと昔から思っており、診断結果には納得しています」。
さらにその結果は自らの能力向上にも使えるのだという。「着想したアイデアや戦略に至ったプロセスを周囲の人に説明するのを忘れてしまい周りを混乱させてしまうことがあります。私の弱点です。でも、強みであるコミュニケーション力を生かし、私の考えを説明した資料づくりや説明の場を設けることで、その弱点が補えることがわかりました」。

 

ヤッホーのミッションを体現した働き方

ヤッホーでの現在の日々に点数をつけてもらうと、「80点」という答えだ。「ヤッホー自体が成長しており、ある時点で、将来これができたら100点と思っても、できた頃には、新たな目標が立ちはだかっている。だから80点なんです」
最後、「働くとは何か」という質問に対しては、「自分なりの価値を生かし、対価をいただいて、誰かを幸せにすること」と返ってきた。ビールに味を!人生に幸せを!さあやさんはヤッホーのミッションをみごとに体現している。

 

 

ビールだけではない、ミーティングもお代わりする

PROFILE

伊藤歩美さん
東京ジャケッツ

医療事務からビールの営業へ

伊藤歩美さんがヤッホーに入ったのは2016年4月のこと。中途入社で、ヤッホーは4社目だ。
大学を出た当初、耳鼻科で医療事務の仕事に就く。変化の少ない仕事と限られた人間関係に飽き足らなくなり、「もっと大きな組織で働きたい」とリクルートに転じる。仕事は住宅情報サイト「SUUMO(スーモ)」の営業アシスタントだ。
仕事は楽しかった。自由な社風で、皆がのびのびと働いていた。性にあったのか、8年近く在籍したが、そのうち、アシスタントの仕事が物足りなく思えてきた。自分も営業をやってみたくなったのだ。
リクルートの代理店に転じ、リクナビやタウンワークといった求人情報サイトの営業職に就いた。求人情報の営業の仕事は奥が深く、確かに面白かったが、人が採用できると、クライアントとの関係も一旦終了してしまう。同じ営業でも、自分が気に入った商品を必要としている人に長く届ける仕事はないものかを考えるようになっていた。そんな時、知人からユニークなビール会社が求人していることを知る。それがヤッホーだった。
職種は複数あり、営業もあった。しかも本社は軽井沢だが、勤務地は東京だ。迷わず応募した。本人が話す。「説明会に行ったら、リクルートと同じ自由溢れる雰囲気でした。説明会なのに、仕事と関係ない趣味の話を延々とし始める担当者がいたり。なかでも驚いたのは、夫婦一組限定で、50年間、毎日欠かさずビールをお届けするサービスを450万円で売り出したという話でした。結局、買い手はつかなかったのですが、ネットで大評判になったと。遊びと仕事の境が低いというか、こんな会社でぜひ働いてみたいと思いました」

 

スーパーならではの施策が奏功

願いがかなって入社する。所属する東京ジャケッツは普通の会社でいう法人営業部のことだ(東京でジャケットをはおって仕事をするのが多いことから、その名称となった)。コンビニやスーパーなどの小売や大手の卸が営業先だ。メンバーは5名。伊藤さんは昨年12月、それまでのコンビニ担当を離れ、大手スーパー担当となった。
コロナ禍の現在、仕事のやり方が変わった。「先方の担当者に会える機会が激減し、メールを使ったコミュニケーションが主になりました。店舗への訪問も、移動距離を少なくするため、各自の自宅に近い店舗を受け持つようになりました」
以前のコンビニと違い、スーパーは売り場が広いため、独自の販売施策を打ちやすい。「外出自粛が続き、家飲み需要が高まっています。あるスーパーで、グラスの選び方や、ビールの色の解説といった、自宅でクラフトビールを楽しむお作法を書いたポップを置かせてもらったところ、売り上げが上がったんです。手ごたえを感じました」

 

安心して本音がいえる

ヤッホーでの仕事のうち、印象深かったものを尋ねると、入社早々担当した福岡のブライダル会社とのそれを挙げた。「たまたまその会社からかかってきた問い合わせの電話を私が取ったんです。この夏の間、うちの製品を使ったビアホールを開きたいと」
複数の製品はもちろん、味わいを示したチャート表、ポスターやTシャツにお手紙を添えて送った。福岡に営業所はないから、先方の担当者とは電話でのやり取りがほぼすべてだった。「入社したばかりで右も左もわからない私の問い合わせやお願いに、嫌な顔ひとつせず、社内の仲間が本当に真摯に応えてくれた。おかげで、ビアホールも大好評でした。後日、出張で上京された担当者に直接御礼を言われ、とてもうれしかったのを覚えています」
そうした新人時代を経て、東京ジャケッツでの仕事も5年目を迎えた。その伊藤さんに、「ヤッホーらしさ」を最も感じる場面を挙げてもらった。「打ち合わせをすると、時間が足りなくなることがよくあるんです。そんな時は『お代わりミーティング』をするんです。それ自体が1回で終わらず、2回、3回になることもある。全員が納得するまで、徹底的に話をする。確たる根拠がなく、何となく違和感がある、という発言でもいいんです。その違和感に対し、全員がああでもないこうでもない、と真剣に応じてくれます。素の自分をさらけ出し、安心して本音がいえます」

 

働くとは生きることそのもの

伊藤さんの趣味は学生時代から続けているクラシックバレエだ。イベント「よなよなエールの超宴(ちょううたげ)」でも披露したことがある。
現在でのヤッホーでの日々は「87点」とのこと。「入社した時はもっと高く90点でした。それ以来4年が経ち、新しい仕事も次々にチャレンジしなければなりません。最近は東京ジャケッツに新しく入ってきた3名の育成とフォローも担当しています。すごく楽しくて、やりがいを感じています。目標が高まったので、その分、入社時より3点減りました」
では、自身にとって働くとはどういうことか。迷うことなく、こう答えた。「新しいことを吸収しつつ、自分なりの成果を出す。その二つを通じ、成長すること。生きることそのものかなと」
伊藤さんのニックネームはKARA(カラ)。韓国の人気女性アイドルグループKARAのメンバーの顔をすべて足して人数分で割ったような顔をしているから、というのが理由だ。名刺にも刷っている。「(グループが解散してしまったので)最近は説明に困るんです」といって笑った。