PROFILE

滝村 雅晴(たきむら まさはる)さん《No.004》

・パパ料理研究家
・株式会社ビストロパパ 代表取締役
・パパの料理塾主宰
・大正大学 客員教授
・農林水産省 食育推進会議 専門委員
・日本パパ料理協会 会長飯士
・NPO法人グリーンパパ・プロジェクト監事

神奈川県在住。47歳。長女(享年8歳8か月)、11歳次女の父。2009年4月に株式会社ビストロパパを設立。代表取締役に就任。日本で唯一の「パパ料理研究家」として、料理教室やセミナーの開催、NHK「きょうの料理」「かんたんごはん」、NHK教育「まいにちスクスク」の出演、NHKラジオ第一「すっぴん!」レギュラーコメンテーターのほか、各種メディアでの連載、一澤信三郎帆布コラボエプロン・トートバッグ、子ども用お手伝いエプロンの企画販売、BistroPapa Online Shop運営など、パパ料理の普及・啓発活動を行う。
座右の銘は、「すべては、たったひとりの本気からはじまる」「継続は志なり」「すべてに感謝。すべてにありがとう」「ぱぱずbeアンビシャス」。
影響を受けた本は、行正り香著「ものがたりのある一皿 季節のおもてなしレシピ」佐々木かをり著「佐々木かをりの手帳術」。
http://www.bistropapa.jp/

PR会社にて、新卒採用/学校法人PR・コンサルティング業務に従事した後、デジタルハリウッド株式会社創立時のスタートアップに関わっていました。スクール事業部長兼執行役員/広報戦略部長等を歴任し、在籍14年で約40,000人の卒業生を輩出させ、IT・コンテンツ業界で活躍する、多くの卒業生ネットワークが財産です。同社在籍時より、ワークライフ&ソーシャルバランス(仕事、家庭、社会活動のバランス)について指導を行っていました。将来ビジョン・自分ブランドを構築するための体験型授業のカリキュラム企画と講師を兼務した後、同社を09年3月末で退職。2009年4月に株式会社ビストロパパを設立したのですが、そこにはある想いがありました。

「パパが家族のために料理をする世の中づくり」を生涯のテーマに

結婚後も、働いてばかりの毎日を過ごしていましたが、待望の長女が生まれたことがきかっけで、家で料理を作るようになりました。ところが、趣味料理に走ったために家族が喜ばなくなったことで、「自分のためではなく、家族のお腹が減ったことに気付いて作る父親の家庭料理」に気付き「パパ料理」と名づけ、ブログで情報発信を始めました。11年間以上毎日更新中の「ビストロパパ~パパ料理のススメ~」では、誰でも簡単に作ることができる「パパッとパパ料理」、小さな子どもとの食育コミュニケーションである「子手伝い」、自分だけ辛い味やおとな味を楽しむ「アト辛おとな味」、料理のTPOの紹介など、料理をしたくなる、楽しめる、続くきっかけやレシピ、ライフスタイルを紹介しています。

その後、家族のために料理を作る父親を増やすことで食卓の笑顔を増やしたいと思い、「パパ料理研究家」を名乗り、「パパが家族のために料理をする世の中づくり」を生涯のテーマとして仕事をするためにビストロパパ社を創業しました。

自分が考えていることや、相談ごとは、常に妻に話していて、一番よく話をする相手が今でも妻。前職を辞めることを決断した時、すぐに妻に電話をして聞きました。
私「会社辞めて、パパ料理研究家になろうと思うねんけど、どうかな?」
妻「いいんじゃない。パパだったらできると思うよ」
私「ありがとう。じゃぁ、そうするわ」
これが、ライフシフトを決めた瞬間です。

常に自分の気持ちや思いを妻と共有したのち、決断するときも「会社辞める。パパ料理研究家になるから」ではなく、妻に「どうかな?」と聞き、妻が賛同することを聞き、夫婦でライフシフトを判断しました。だからこそ、独立・起業後も仕事を手伝い、常に応援してくれています。ライフシフトを決める際に、パートナーへの理解と賛同、サポートは欠かせないと思っています。

誰かにまかせられるネットワークを持てるかどうかはライフシフト成功の鍵

今では、自分の好きな人たちと、好きな仕事だけをすることができることを実感しています。自分が本当にそうしたいと思ったことに本気で取り組めば、必ず応援してくれる人に出会える。時間がかかるかもしれないがカタチになる。そう信じています。

仕事する時間、場所、相手含めすべて自分で判断できる立場になる、自由になるということは、すべてに責任を持つということ。私は今、責任を持つ人生を楽しんでいます。時間管理は永遠の課題です。仕事、家庭、地域活動のボリュームは、常に変化していきます。その時に、何に優先順位をつけ、どう対応していくか。(1)自分でやる、(2)誰かにまかせる、(3)先送りする、(4)辞める、と瞬時に判断して行動する力が必要になります。これは経験でしか乗り越えられません。特に(2)の誰かにまかせられるネットワークを持てるかどうかは、ライフシフトを成功する時の大事なポイントだと思います。

食べることは、生きること。誰かのための料理を作るのは、誰かを生かすこと

2012年1月12日、長女優梨香が8歳8ヶ月で天国へと旅立ちました。その彼女が、「食べることは、生きること。誰かのための料理を作るのは、誰かを生かすこと」という大切なことを教えてくれました。

家族みんないっしょに、いつまでも食卓を囲めると思っていました。でも、家族で一緒にごはんを食べる回数は有限でした。人生は、いつどんなことが起こるかわかりません。だからこそ、過去にしがみつくのではなく、今を、明日をどうするのか、目の前にあるものから逃げずに、チャレンジするべきだと思っています。変化し続けることでしか、人生100年時代を生き抜く方法はないのだから。

私が身に付けている赤いエプロンの真ん中のぐるぐるの絵は、長女優梨香が闘病中に描いた絵です。赤いエプロンをつけるとき、優梨香と一緒に仕事をしています。彼女の夢が、僕と仕事することだったので、今もそばにいると感じています。

創業から9年、家庭でパパ料理を作る父親を増やすための活動をしてきました。そして2017年、新たな挑戦をします。

人生100年時代を迎え、すべての男性が生きるために、誰かを生かすために料理を作る世の中づくりのためにビストロパパ主宰の「パパの料理塾」を11月15日より開講します。そこでは、技術だけではなく料理を媒体に「マインド」や「コミュニケーション」を伝えていきます。そして、自分と同じように、父親や男性に「料理を通したライフスタイル」がいかに楽しく豊かかを伝えられる講師を育成し、100年ライフを料理で楽しむ男性を増やしたいと考えています。

その先には、長く働ける人が増え、地域で活動する人が増え、健康寿命も伸びていく。生涯にわたって食生活を自立して生きる男性が増えることで、女性の活躍の場も広がり、日本が豊かになっていくと信じています。