PROFILE

宮田 麻子(みやた あさこ)さん《No.005》

・豊島区 政策経営部 女性にやさしいまちづくり担当課長

東京都在住。48歳。夫、コザクラインコの“3人家族”。自身が住民でもある豊島区の民間公募で任期付き公務員として勤務。民間企業での経験を活かし、区内の企業や大学、地域内のコミュニティとの連携により、女性やファミリー向けのまちづくり施策展開や情報発信を行いながら地域ブランディングを推進している。
座右の銘は「ずくを出す。(出身の長野県の方言で、手間を惜しまないこと)」
長野出身の母がよく口にする言葉で、少しの手間を惜しまないことで美味しい料理ができたり、よりよいものができたり。これは仕事にも通じ、少しの努力や工夫を惜しまないことがよりよい仕事につながると思っている。
http://toshima-scope.city/

以前は、グローバル企業の日本法人(日本マイクロソフト)にてマーケティングや広報職に従事していました。テクノロジー企業特有のイノベーションや経営方針の変革スピードの中、新製品・サービスを次々に市場に送り出し、典型的な外資系企業のワークスタイルを送る日々。多国籍でフラットな企業文化、柔軟なワークスタイルは自分には合っていた反面、働く(走り続ける)ペースについて考えることもしばしばでした。

そうしたグローバル企業ゆえの本社トップダウンの強い経営文化の中で、よりローカルな視点で地域課題に寄り添った仕事をしたいと思うようになったのです。マイクロソフト退職後、フリーランスで様々な業種のPRを担当し、出身の長野県の地域PRなどにも関わっていました。そんな折に豊島区の民間公募を知り、これまでの経験をより地域や日々の生活に近い分野で活かせるのではと感じ、応募に踏み切りました。

外資系企業での経験を行政で活かして“まちづくり”を

豊島区は、2014年に消滅可能性都市の指摘を受け、2016年には民間からの人材採用で女性にやさしいまちづくり担当課長という新ポストを設置しました。外資系企業から地方自治体というほぼ真逆の組織文化に戸惑うことも多いのですが、それまでの経験を地域で活かしたいと、外資民間企業から公務員というライフシフトを決意しました。

日本マイクロソフト勤務時代

私にとって大きな方向転換でしたが、あまりない機会に、家族も賛成・応援してくれています。夫や近所に住む母も同じ住民として、以前よりも積極的に地域内のイベントなどに出向くことで私の仕事内容の理解をしてもらう機会を増やしています。近所に住む79歳の母は、ここ数年町会主催のゴルフコンペに参加したり、会社員である夫もお祭りの神輿を担いだり、町会の理事まで引き受けたりと、以前に比べて地域活動に参加するようになりました。

会社員時代は、日々の生活の中であまり地域に関わることがなく、活動範囲はほぼ区外(時々海外)という環境でしたが、現在は、仕事と日々の暮らしが密接につながり、いわゆるフィールドがグローバルからローカルになったわけです。会社員時代よりは仕事と生活がゆるやかにつながっている分、区切りもつけにくいのですが、地域の課題や仕事上での取り組みがより「自分ゴト」となったと感じています。電車を乗り継いでの通勤から、都内に唯一残る都電荒川線での通勤となり、職住接近のライフスタイルを送っています。

地域情報サイトの取材で区内のさまざまなエリアを訪問

思い描く方向にどんなルートがあるのか、可能性を模索する

これから先、人口減少の時代に入り、これまでの公共セクターの仕事の担い手として、より民間の積極的な参加が必要となってきます。その中で、ローカルとグローバルの視点、民間と行政双方の経験や視点を活かした活動ができたらと思っています。

ライフシフトもいろんな種類があり、急に転換することもあれば、緩やかなものもあると思います。私の場合は何となくぼんやりと方向を描きながら、緩やかにシフトしつつ、そこにチャンスが来たときに大きく振り切ったという印象です。とは言うものの、私自身、まだシフトの最中。将来思い描く方向に、どんなルートがあるのか、日ごろから色々な可能性を模索していくことが大切だと感じています。

違うと思ったら、またシフトしなおすこともあり。チャンスとタイミングがあれば、シフトを経験し、ステップアップすることができると信じています。

地域住民とのミーティング風景